3人娘の親父が走る。いつだって全力中年。

3人娘の親父がランニングを中心に、日々の出来事をそこはかとなく綴ります。

【調査報告】心拍数のドリフト現象について論文を調べてみた。

心拍数のドリフト現象。


英語では、
Cardiovascular drift(CV drift)
Cardiac drift
と呼ばれている。


マラソンを走ったことがある方であれば、経験されたことがあると思う。

一定のペースを維持しているのに、心拍数が徐々に上がっていく現象。

または、一定の心拍数を維持しているのに、同じペースを維持できなくなる現象だ。


例えば、こちらは2018年2月の神奈川マラソンでの俺のペースと心拍数のグラフ。


ペースは、4分45秒から5分程度を維持しているが、心拍数が徐々に上がっていることが分かる。
スタート10分後に約140だった心拍数は、ゴール手前ラストスパートをかける前に160程度に約15%程度上がっている。

これが心拍数のドリフト現象。


このドリフト現象、長時間継続するような運動を行う方、俺のような市民ランナーにとっては、押さえておくべき大事なポイントだと考えた。

マラソンのペースを決めるために重要な要素だろう。

なので、徹底的に調べた。

「ググる前に、ググる。」
これが俺の信条。


■心拍数のドリフトは、なぜ起こるのか

安静状態から、ある強度の運動を開始すると数分で大きく心拍数が増加する。

これは、自律神経系の働きによる心拍数の増加であり、「心拍数のドリフト現象」とは別のものだ。

その強度の運動を継続すると、5分から10分程度で、心拍数の増加が緩くなる。

この時点では、一気に増加した心拍数により一気に取り込まれた酸素がエネルギーとして十分に使われ始め(脂肪がエネルギーとして使われ始め)ている状態になっている。

運動初期の心拍の応答については、以下の論文のFigure2が分かりやすい。
Cardiac Autonomic Responses during Exercise and Post-exercise Recovery Using Heart Rate Variability and Systolic Time Intervals—A Review


副交感神経(cPNA)が抑制され、交感神経(cSNA)が働くことで心拍数が上がる。
また、心拍数の増加が緩やかになるあたりで脂肪(metabo)がエネルギーとして使われ始める。
f:id:Alloutrun:20180404215125j:plain



心拍数のドリフト現象による心拍数の増加は、心臓が1回に送り出す血液の拍出量(SV:Stroke Volume)の減少を補償するために起きる。

1回で送り出せる血液が少なくなるため、より多くの拍動が必要になるのだ。

では、なぜ継続的な運動で拍出量が減少するのか。

これは、大きく二つの要因が考えられている。


・体内の温度上昇を抑止するため、汗を掻くので、体内の水分量が減少し、血液量が減るため

・骨格筋の毛細血管に血液が行き渡り、さらに体熱放出のため皮膚表面近くの血流量が増えるため


このメカニズムについては、多数の論文で言及されているが、以下の概要が端的に分かりやすく書いてある。
Cardiovascular drift during prolonged exercise and the effects of dehydration. - PubMed - NCBI



■心拍数のドリフトを抑えるには

心拍数のドリフトのメカニズムは、気候や高度などの外的要因も絡み、非常に複雑なものらしい。

複数の論文で記載があるが、心拍数のドリフトは、どんな鍛えられたアスリートでも絶対に起こる。

ただし、ドリフトする量を抑えることは可能だ。


1つは、「運動中に十分な水分を摂取すること」。


水分を摂取することにより、汗による脱水の影響を軽減し、血液量が減ることを抑えられるためだ。

また、水分を摂取することは、体内温度を下げる効果もある。

水分摂取により、血液量の減少を抑え、体内温度を下げられるため、心拍数のドリフトを抑えられるわけだ。


こちらの論文では、水分を摂取したグループと、摂取しないグループに120分間の運動を継続させた際、心拍数の増加が倍程度違ったという報告がされている。
"Fluid replacement and glucose infusion during exercise prevent cardiovascular drift"



もう1つは、「持久性トレーニングを継続すること」。

当然と言えば当然だが、普段からトレーニングをしていれば、ドリフトが抑えられるとのこと。

考えられることは、一定強度の運動で使用するエネルギーが減るため(ランで言えば、ランニングエコノミー向上により)、体内温度の上昇が減る、と言ったところか。

トレーニングを積むことで、一定強度の運動での汗の量が減るという報告もある。


こちらの論文では、中距離選手と、健康な成人男性とに60分間の運動を継続させた際、中距離選手の方が心拍数の増加が優位に少なかったと報告されている。
"持久性走者の長時間運動時における呼吸循環応答特性"




「この心拍数を超えると、いよいよヤバい。」
という心拍数の数値、皆さんもあると思う。

俺の場合は、オーバー160。

160を超えは、10分は持たない感じ。


マラソンを走りきるにあたり、この「ヤバい心拍数」に到達しないペースで走る必要がある。

マラソンでの心拍数のドリフト量が15%と仮定したとき、ゴール時に160回/分を狙うためには、139回/分が俺の初期値となる。

(139.13 = 160/1.15 から計算)
※ドリフト量の15%は、あくまで仮定。様々な条件で変化する。


心拍数139で、走れるペースを上げること。

ドリフト量を下げるために、レース中に水分をしっかり取ること。

ドリフト量を下げるために、普段から練習をしっかりすること。


今後の練習は、心拍数も意識して取り組みたいと思う。


今回、エントリーの流れ的に紹介できなかったが、心拍数に関することが広く網羅されているこちらの論文は一読の価値あり。
必要と俺のやる気に応じて、今後要点をまとめてみたいと思う。
"Heart Rate Monitoring"


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