俺の所属する父親の会ではサークル活動も活発だ。
その中のひとつ、野球サークルについてのエントリー。
■高校野球部、大学時代は母校の助監督
俺は、高校時代野球部だった。
一応、ピッチャー。
そして、大学に入学した後は、母校の高校の野球部の助監督をやっていた。
恥ずかしながら、現役時代に人様に誇れるような活躍は、していない。
ただ、足腰を鍛えるために、ひたすら走ってはいた。
まずは、助監督の時の話をしたい。
助監督時代、夏の大会の予選が神宮第二球場で行われた。
相手は、強豪として名高い「帝京高校」。
俺はベンチで身震いしていた。
実は帝京高校は、俺の幼少期の家の近くにあり、たまに練習を見に行っていた。
甲子園に帝京高校が出場していたら、必ず応援していた。
その日の練習でノックを打つ、名将として有名な「前田監督」も、俺にとっては非常に身近な有名人だった。
前田監督の打つキャッチャーフライは、ほぼ真上に美しい放物線を描いていた。
前田監督の打つショートゴロは、センターに抜けるかショートが取れるか絶妙なラインを描き、転がる白球を追いかける球児がカッコよく見えた。
この後、俺が助監督として、前田監督の次にノックを打つのだ。
身震いしないわけがない。
いよいよ俺は、ノッカーとしてホームベース前へ立つ。
俺は力が入っていた。
「いくぞー、レフトーっ!!」
ガンっ!!
ボールがつぶれてしまうかのような音。
大きく、そして綺麗な放物線。
ボールを追いかけるレフト。
追いつけず、ボールはスタンドイン。
エンタイトルツーベースだ。
その時、相手ベンチから「おぉ」という歓声と拍手が聞こえた。
前田監督だ。
嬉しかった。
あの憧れの前田監督に、拍手をもらったのだ。
「やってやった。俺はやったんだ。」
得も言われぬ達成感。
試合前に相手に衝撃を与えられたぞ。
「対戦相手には、ものすごいノッカーがいるぞ。」と。
おそらく、このときが俺の野球人生での絶頂だった。
試合はというと、中盤うちの高校が帝京高校を
5-4
とリードする、誰もが予想しなかった展開。
やはり、あのエンタイトルツーベースが効いたのだろう。
「勝てるかも…」
しかし、現実はそんなに甘くはなかった。
最後は、5-9で敗戦。
俺の現役時代は、不甲斐ない成績しか残せず、後悔の念ばかり湧いてくる。
そんな俺に、またチャンスが巡ってきたのだ。
「おやじの草野球サークル」だ。
■おやじの草野球、年末の紅白戦
昨年末、おやじの草野球で1年の締めとして紅白戦をするのだが、人数が足りない。
とのことで、高校時代(20年以上前)にピッチャーをやっていたというだけで、俺も招集。
ユニフォームは持ってなかったので、一人ジャージ&ランニングシューズでの参加。
20年ぶりくらいだというのに、ジャージ&ランニングシューズなのに、ピッチャーをやることに。
投げられる気がしない。
キャッチャーまでの18.44mが、恐ろしく遠く感じる。
フォアボールで試合をつまらなくしたくない、という自分にかけてしまうプレッシャー。
精神的に不安定な中、
20年ぶりの第1球目。
ストライク。
「俺、そこそこ投げれる。」
1球目のストライクから、ふっと高校時代の景色が重なった。
「ナイピー、ナイピー!」
「いこうぜー!」
マウンドから見る景色。
ピッチャーをやった者だけが見える景色。
土から湯気が上がるかのような灼熱のマウンド。
その紅白戦の日は、この冬一番の冷え込み&強風で、手がかじかむほどだったが、
俺は1人、真夏の灼熱のマウンドに立っていた。
俺のボールがキャッチャーミットで弾ける音が気持ちよかった。
ファインプレーをするナインとのハイタッチは、心からのハイタッチだった。
ここでなら、高校時代に掴み取れなかった栄光を掴むチャンスが来るかもしれない。
※単なる草野球です
試合後、野球サークルの部長を務める「じゃんがじゃんがーさん」から、
「野球サークル、入ったってことで良いんですよね?」
さらに、野球サークルで要職を務める「超絶いい人なバンドマン」からも、
「ウッディ(←俺のこと)もユニフォーム買っておいてね。背番号も決めてね。」
と。
入らせていただきます。
土日の家族との時間が減りそうだけど、栄光を掴みとるチャンスだ。
そして、背番号。
サークルの諸先輩方で、若い数字はほぼ埋まっていたが、あの番号が残っていた。
そう。
野茂英雄がドジャース時代に背負っていた
「16」
日本人のメジャーへの道を切り開いた野球界のパイオニア、野茂英雄。
パイオニア見習いの俺も、いつかは野茂英雄のような 富士通ゼネラルのエアコンのCMで見せたやる気のない感じの 常識にメスを入れられるようなパイオニアになりたいと思う。
次は3月末の練習試合。
栄光に向かって、背中の16番に負けないよう準備をしようと思う。
ちなみに、紅白戦でサードをやっていた「髪の毛薄めのトシちゃん」がトンネルおよびお手玉を合計3回したことに「イラッ」としていたことは、ここでは内緒だ。
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