長女の桜子は、奥さんと俺の愛情を3年間ずっと注がれていた。
次女の楓子は、桜子の3年後に生まれて、その3年後に璃子が生まれるまで、奥さんと俺の愛情を半分ずつ注がれていた。
三女の璃子は、末っ子ということもあり、生まれてからずっと、両親からの愛情を注がれやすい感じだった。
今思い返すと、俺は次女である楓子に注いできた愛情は、桜子と璃子と比べると、少なかったのかもしれないと反省している。
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楓子は、今、「急性小脳炎」という病気と闘っている。
生死の縁をさまよいながらも、やっと回復してきたところだ。
全く体が動かなくなり、顔からは表情がなくなり、全くしゃべることができなくなった10日ほど前。
瞳孔が開いて、最悪の状況すら頭に思い浮かんだあの日。
楓子が入院して以降、ほぼ毎日、病院で楓子と過ごしている。
「楓子は、黄色が好きだったんだな。」
「楓子は、こんな曲を好きだったんだな。」
「楓子は、こんな映画を好きだったんだな。」
「楓子は、本当にママのことが大好きなんだな。」
これまで気付けなかった楓子の色々なことを知れた。
そして、全く動けないし話もできなかった楓子が、少しずつ回復してきた。
3月28日。
今日。
楓子は、俺が病院に行くと、面会時間の前に何があったのかを、力強い言葉で話してくれた。
そんな楓子は、点滴の管がなくなっていた。
1時間おきに点滴を受けていた楓子は、今はもう、
何にも繋がれていない。
そして、リハビリの運動を始めると、力強く歩いてくれて、歩いている途中に手を振るくらいの余裕を見せてくれた。
楓子が小さかった頃。
俺が、しっかり見てあげられなかった、楓子の成長。
「急性小脳炎」という、普通ではありえないような病気になった今。
俺は、楓子の成長と、彼女自身のすべてをしっかり確かめられている。
楓子が赤ちゃんの頃、できなかった、成長を感じることが、今、この危機的な状況の中、できている気がした。
自分ができなった、
あの時にできなっかった、
楓子の成長をしっかり確かめること。
それを、今、もう一度、確かめるチャンスを。
ありがとうございます。
桜子、楓子、璃子。
3人とも、しっかり成長してくれていて、ほんとにありがとう。
楓子。
君の成長を、もう一度、しっかり噛みしめながら確かめられているパパは、本当の幸せ者なのかもしれないよ。
こんな状況だけど。
「ありがとう」
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