楓子が退院して3日。
少しずつ心に余裕が出てきた。
なので、俺の所属している「親じ会」が、卒業生に向けて作ったビデオを紹介したいと思う。
なお、映像の素材は、2月の前半に全て揃えている。
当時は、日本で感染者が数名出始めた頃で、外出の自粛の要請などなかったが、新型コロナの影響で、撮影したかった映像をいくつか諦めた。
ここ3年ほど、小学校の卒業生に向けて、卒業おめでとうのメッセージを込めたビデオを「親じ会」で作成している。
ビデオの基本構成としては、
・卒業おめでとうメッセージを周辺の町内会のみなさんから
・担任の先生が、卒業生が思い入れのある曲を歌う
その曲のバンドが、親じ会のみんな
・親じ会バンドが歌った歌にのせてエンディング
という感じだ。
町内会など複数の関係者にメッセージ動画を頂くために、撮影をして、
休校になってしまった子ども達に少しでも思い出してもらおうと、休日に学校の様子を撮影しに行き、
卒業生の担任の先生達と日程を調整して、思い出の歌を一緒に歌い、
エンディング用の歌を歌い、
バンドのメンバーは、こちらの4人だ。
このビデオ作製は、親じ会の元局長の、
「永遠の悪ガキ下町ロケット親父」
だ。
プライバシー的な関係から断片的な画像しかお見せできないが、このビデオ、めちゃくちゃ完成度が高い。
ビデオ作製の時期と、楓子の入院との時期が重なり、「下町ロケット親父」は、楓子と俺に気を遣ってくれたのかな。
ビデオに、俺が前面に出ている時間が結構ある。
そして、ビデオが完成した時、「下町ロケット親父」はこう言ってくれた。
「このビデオ。すげー完成度高いぞ。楓子ちゃんを笑わせる自信がある。」
「下町ロケット親父」が、そう豪語した、すごい完成度の高いビデオを、俺は楓子に見せた。
その頃、楓子は、もっともキツイときだった。
楓子は、全く笑わなかった。
いや。
笑えなかったんだ。
「下町ロケット親父」の力作だったのに、ごめん。
「あの頃、どんな感じだったの?」
と楓子に聞くと、
「本当に『死ぬかもしれない』と思った。」
と言った。
それだけ苦しい思いをしていたのだと、改めて感じて、心がキューっとなった。
死ぬかもしれない、と感じているときにあのビデオを見ても、それは笑顔になれないよな。
そして、今日。
改めて、その卒業生に向けたビデオを楓子に見てもらった。
楓子も、桜子も、璃子も、奥さんも、俺も。
みんなで笑いながら楽しんだ。
卒業生たちにも、ちゃんと届いていたよね。
親じ会、本当に大好きだ。
俺は、涙しながらビデオを観たよ。
ほんとありがとう。
応援のポチ、お願いします!
にほんブログ村