つい先日。
2024年12月1日に、第19回湘南国際マラソンに参加した。
2019年12月の湘南国際マラソン以来、実に5年ぶりのフルマラソン出場だ。
今回は、ほぼほぼ練習なしでフルマラソンを走ることになってしまった。
「マラソンは準備のスポーツ。当日は、これまでやってきたことを、そっと置いてくるだけ。」
と、十分理解しているのだが、ほぼほぼ練習なしで当日を迎えてしまったのだ。
ということで、ここでは、
「ほぼほぼ練習なしでフルマラソンを走ったらどうなるか。」
について、まとめておきたいと思う。
■俺の最近のスペック
まずは、俺の普段の生活含めたスペックについて。
・身長178cm、体重65kg
・46歳 男性
・週1回日曜日に3時間くらいバドミントン
・普段はデスクワークでほぼ在宅勤務
・ここ2か月間の歩数は、平均7000歩/日
・ほぼ毎日晩酌している
・フルマラソンは何回か走ったことある
・フルマラソンのベストは3時間24分くらい
と言ったところだろうか。
週1回、バドミントンで運動はしているものの、在宅勤務でデスクワークということもあり、アクティブにスポーツをしている感じでもない。
■結論
ほぼほぼ練習なしで挑んだフルマラソン。
結果、
4時間58分15秒(ネット)
で、なんとかゴールできた。
www.all-out-running.com
「完走」と言うのもおこがましいくらい、走ったという感じではなく、
「42kmのお散歩」という表現の方がしっくりくる。
25kmくらい以降からは、脚の痛みとの闘いが続き、無理矢理移動してきた。
終わった後は、ズタボロで。
電車の階段の上り下りが手すりなしではできず。
打ち上げの会場が、飲み屋の2階で、脚の痛みに悶絶し。
家に帰ってから、ベッドのある2階まで這いつくばって移動し。
翌日は、トイレに座ったら最後、立ち上がれず。
2日くらいたって、ようやく普通に歩けるようになった。
と、概要はこんなところだが、ここからは、
フルマラソンに申し込んでから、
どのように当日を迎え、
どんな42kmだったのか、
どう感じたのか、
について、詳細を書き残しておきたいと思う。
■5年ぶりのフルマラソン申し込み
俺は、コロナの色々があって以降、マラソン大会からは足が遠のいていっていた。
バドミントンが楽しくなってきたこと、
PTA会長としての色々が増えてきたこと、
以前のようなモチベーションが湧いてこないこと、、、
もあり、走ること自体が日常から消えていた。
が、ここ1、2年くらいで、親じ会の一部のメンバーが徐々にマラソン大会に出場するようになり、俺も、
「走ってみてもいいかなぁ。。。」
くらいの気持ちには少しずつなっていた。
で、親じ会の飲み会のときに、なんとなくのノリで、申し込んでしまった。
2024年4月のことだ。
「マラソンの打ち上げで美味しいビール飲もうぜ!」
的な。
そして、過去の親じ会の面々とのマラソンのブログなんかを読み返してみたりした。
www.all-out-running.com
だが、
「以前のような練習ができるのだろうか」
「42kmも走り切れるのだろうか」
そんな不安があった。
とりあえず、走ってみればいい。
そんなことは分かっていたのだが、走る習慣がすっかりなくなっていた体は、自分の想いとは裏腹に、全く走りに行ってくれなかった。
■練習記録
「ほぼほぼ練習なし」
とは言っても、何回かは走った。
・2024年4月21日 9.5km
申し込んだ際に、親じたちで
「週末、定期的に走ろう」
となり、4月の週末に走ってみた。
10kmを目標に走り出したのだが、キロ6分半くらいのペースで走ったにも関わらず、
7kmくらいで脚が動かなくなり、最期の3kmは歩いて戻ってきた。
「フルマラソン、走れるのか?」
の不安が大きくなった、練習初日。
・2024年9月
4月以降、全く走っていなかった。
なんでなんだろう。
完全に忘れていた、、、という感じだ。
これは流石にまずい、と思い、朝のウォーキングを始めることにした。
だいたい4km~5kmを、朝の1時間くらいかけて。
ウォーキングに加えて、体の調子がいい日は、少しジョグをまぜたりしていた。
で、結局、9月は127kmのウォーキング。
「俺、なんとか走れる体になるんじゃないだろうか」
と、いくらか希望が見えてきた。
・2024年10月
10月に入ってもしばらくは朝のウォーキングを続けていたのだが、
風邪をひいてしまったことと、出張があったりして、
せっかく身に着いたウォーキングの習慣もすっかりなくなってしまった。。。
10月は51kmのウォーキング。
「やべぇ。。。」
そして、当日走らない理由探しを始めたりしていた。
・2024年11月9日 6.2km
なにも練習せずに、いきなりフルマラソンを走ることの無謀さは、十分分かっている。
「走らなければ。走らなければ。。。」
そのなんとも言えないプレッシャーに押され、なんとか走りに繰り出した。
「10km走る!」
そう思って、走り出し、結果。
あまりのキツさに6.2kmでストップ。
「やっぱ、DNSしよう。」
そう、なんとなく決めていた。
・2024年11月28日 10.3km
とうとう大会の3日前になってしまった。
ここまで、もっとできることはあったはずなのに。
まぁ、後悔してもしかたない。
走ろう。10km。
「キロ6分ペースなら、、、」
そう思って走り始め、なんとか10km走り切った。
これ、マジで限界だった。
そして、翌日、しっかり筋肉痛。
余計不安になった大会前最後のラン。
大会3日前。
「不安以外、なにもない。」
そして、
「練習なし」「マラソン」
のキーワードで検索しまくった。
■大会前日
前日に補給食を8個くらい買い、
ボトルに水を入れ、
トレイルラン用のリュックを背負って走ることにした。
一緒に走る予定の親じたちに、DNSする人はいなかった。
「俺もやるしかない」
「なんとしてでもゴールする」
「あとは、大会を思う存分楽しむだけ」
そう思いながら、湘南国際マラソンのコースを調べ、どこら辺だったら、途中でやめてもスタート地点に帰ってきやすいのかのシミュレーションを入念にしていた前日。。。
途中棄権して電車に乗ることになった際に、寒くないように、薄手のジャケットもリュックに入れておくことにした。
■大会当日
いよいよ大会の当日。
4時起床。
久々の高揚感。
というか、不安。
一応、直前の10kmの練習タイムから、目標のペースをVDOT計算機で計算したりして、
キロ6分30秒ペース
とした。
VDOTは、酸素摂取量から、タイムを推定するものなので、そもそも脚ができあがっていない今の俺には無意味な数字だと分かっていたが。。。
このペースを維持できれば、だいたい4時間30分でゴールできる計算だ。
このペースを42km維持するのは無理だろうから、途中歩いたりして、5時間を切れたら御の字。
そんなイメージでいた。
・スタート前
スタートブロックは「E」。
同じブロックに、親じの「草野球大好き熱血スキーヤー」がいたので、一緒にキロ6分30秒ペースで走ることにした。
この日、天気は快晴。
風はほぼなし。
最高気温は18度の予想。
スタート地点で、半袖半ズボンでも全く寒くない。
今日は暑くなりそうだから、しっかり塩分と水分は取ろう。
そんなことを考えているうちに、徐々に前の人達が動き始め、スタートの号砲が聴こえることなく、スタートした。
さぁ、5年ぶりのフルマラソンだ。
楽しい42kmにしよう。
・スタートから10km
スタートして、周りの流れに身を任せていると、自然とキロ6分30秒ペースに落ち着いた。
すごく天気がいい。
日差しが強すぎて暑いくらい。
「草野球大好き熱血スキーヤー」と話しながら、たまに時計を見ながらペースを維持していった。
脱水と脚を攣ることを恐れて、塩分が入ったジェルを8kmあたりで補給。
このあたりで、「草野球大好き熱血スキーヤー」が給水で遅れたので、以降は単独走になる。
周りの人たちの走りを見たりして、あぁだこうだ考えながら走る。
「まだ余裕はあるな」
・10kmから20km
ただひたすらにキロ6分30秒を刻むロボットになっていた。
「とにかく無心」
「とにかく省エネ」
そう心がけ、しばらくは自分に集中し、沿道の応援も全く見えていなかった。
補給食と給水は、定期的に取る。
17kmあたり(折り返し付近)になると、江の島が近くなり、一気に沿道の応援が多くなった。
そこでは、応援をしている皆さんが、
「えい!えい!おーっ!」
とずーっと繰り返していて、自分も一緒に腕を振り上げて、周りのみんながものすごい一体感。
たくさんの元気をいただけた。
「マラソンって、いいなぁ」と。
そしてまた、無心に戻る。
ひたすらにペースを維持できていた。
湘南国際マラソン名物のエイドの「カリフォルニアレーズン」の味を楽しむ余裕もあった。
なお、そんなに美味しいものではない。
「これは、このまま行けるんじゃないか」
そう、思えた。
・20kmから30km
が、マラソンはそんな甘いもんではない。
20kmを少し越えたあたりから、おしっこしたい気持ちになってきた。
このあたりから、トイレを気にするようになる。
「なるべく並んでいないトイレに入りたい」と。
あぁ、ここは並びすぎてるから、次。
あぁ、、、また次。
みたいなのを数回繰り返し、25kmあたりでトイレへ。
で、すっきりしたのは良かったのだが、この後、妙な股間の痛みに襲われるようになり、
その痛みをかばうように走るようになり、
ふくらはぎと太ももに攣る気配を感じるようになってきた。
そして、脚全体が痛くなってくる。
エイドや給水の度に歩くようになり始める。
「ここからがマラソンなのに。。。」
・30kmから35km
まじで脚が痛い。
呼吸は全然苦しくないのに、脚が痛くて、次の一歩がまじでツラい。
「がんばれー!」
「良いペース!良いペース!」
「痛いのは気のせい!」
と言った、温かい応援の言葉が、宙をかける。
「まじで脚、痛いんすよ。笑」と返す。
ときおり視界に入る、雄大なマウントフジと、
エメラルドグリーンに光る相模湾の広大な海。
湘南国際マラソンはこれまで何回か走ったことがあるが、
脚の痛みを抱えながらも、こんなにゆっくりこの景色を楽しめたのは初めてだった。
「あともう少しでスタート地点の大磯プリンスホテルだ」
・35kmから40km
37km地点。
大磯プリンスホテル、向こう側にゴールがある。
ここからは、対向車線側にもランナーがいる。
ゴールを強く意識できるポイントだ。
ここまで来たら、もう棄権するわけにはいかない。
ここでもどこからか声が聞こえる。
「痛いのは気のせいだ!」
「ラスト振り絞れー!」
と。
脚はものすんごく痛くて、もう全部歩いちゃおうかな、、、とか考えていたところだった。
あと全部歩いてもなんとか制限時間の6時間半はクリアできそうだ。
もう、歩きたい。
いや、止まりたい。。。と。
が、
「もしかして、痛くないかも」
「速く走ったら痛くないかも」
みたいに思えてきて、
変な元気が突如湧いてきて。
37km、38kmのラップはキロ6分を切ることができたのだ。
周りとは段違いのスピードでぐんぐん進んでいく。
「俺すげー!このままゴールしちゃうぞ!!」
なんて思ったのもつかの間。
心拍と呼吸が付いてこなくなり、停止。
どうやら、これが俺の「いたちの最後っ屁」だったようだ。
・40kmからゴール
周りのみんなは、最後の力を振り絞って、走っている。
そんな中、もう走れない俺。
10m走っては、20m歩く。
なんか急に周りに人が増えた。
どんどん抜かれる。
脚が痛い。
脚が動かない。
どんどん抜かれる。
焦る。
みんな頑張ってるのに、俺だけ頑張れていない。
焦る。
とうとう5時間のペースランナーとその大きな集団に飲み込まれる。
必死に食らいつく。
が、無理。
痛みマックス。
そして、飲み込まれたのもつかの間、すぐに集団から引き離される。
どんどん引き離される。
で、追い打ちをかける湘南ラストの
「くいっ!くいっ!の登り坂」
を完全に歩き倒す。
沿道にはたくさんの応援。
最後の力を振り絞る。
がんばって笑顔を作る。
沿道の応援の方々が差し出してくれるハイタッチにひとつひとつ応える。
笑顔になる。
そして、ゴール。
手元の時計で、4時間58分18秒。
正式タイムは、4時間58分15秒だった。
42.195kmの長い長いお散歩が終わった。
ゴール後にいただいた完走メダルは、すんごくショボかった。
なお、一緒にエントリーした親じ会の以下のメンバーも、全員完走した。
「ツワモノオトコ」
「イケメンマダムキラー」
「草野球大好き熱血スキーヤー」
「全力中年(俺)」
「背は大きくないけど態度は大きい酔っぱらい」
「永遠の悪ガキ下町ロケット親父」
※上記は、ゴールタイム順
※大会後はしっかり親じ会で最高の打ち上げしました
■練習ほぼなしのフルマラソンを完走して感じたこと
マラソンは、準備のスポーツ。
練習なしでフルマラソンに挑むのは無謀の境地。
だが、たぶん、ペースさえ間違えなければ、
そして制限時間がなければ、
誰もが完走はできるのではないか、、、とも思う。
何らかの理由があって、ほぼほぼ練習なしだったからと言っても、
大会に参加しないという選択はもったいない。
練習していない方は、不安で不安でたまらないだろう。
でも、やっぱり、
こんなに貴重な非日常は、やはりフルマラソンでしか味わえないものだと感じた。
何万人もの人が集まり同じゴールを目指し、
沿道の知らない人と、笑顔で会話したり、
ほかでは味わえないような脚の猛烈な痛みを経験できたり、
特別な状況で素敵な絶景を見れたり、
エイドの食べ物がすんげー美味しく感じられたり、
おしっこして、妙な股間の痛みに襲われたり、、、
例え練習をほぼしていなかったとしても壮絶な経験ができるのだから、
しっかり準備をして当日を迎えられたら、もっともっとかけがえのない経験ができるのだろうと思う。
貴重な経験をさせてもらった、湘南国際マラソン。
そして、自分をまたフルマラソンの場に呼んでくれた親じ会のみんな。
ありがとうございました!