2011年3月11日。
いつものように出社し、昼飯を社食で同僚と一緒に食べた後、
14時から、「コンプライアンス研修」という研修に参加した。
全社員が必須で受講する必要があった研修だ。
50人程度集まった会議室の壇上には、講師の方と、役者の方2名。
役者の方が、様々な場面を模擬して演じて、それらの場面について講師が補足説明し、社員で議論する。
そんな流れで進んでいった。
研修も後半にさしかかると、自分と、隣に座っていた同僚との2人が講師の方に指名され、
壇上に上がって、2人で上司役を演じてくれと。
ある人からパワハラを受けたと言っている部下役は役者の方が演じると。
壇上に上がり、カチカチに緊張した形で言葉を発し、その言葉がマイクで会議室内に響き、観客の社員たちが笑う。
そのような状況の中、忘れもしない、あの大きな揺れを感じた。
その揺れは数分間継続し、大きな揺れの中、蛍光灯やプロジェクターの電源が落ち、非常灯の明かりだけがうちらを照らした。
こんなに長く揺れる地震。
これは大変なことになっているのではないか。
奥さんは、娘たちは、大丈夫だろうか。
一刻も早く家族のもとに行かなければ。
そう強く思った記憶は、今でも鮮明だ。
その後、揺れが落ち着くとともに、研修は中断し、居室へと戻った。
各自、帰れるようならば、自宅に帰るようにとの指示が出て。
上司は、バッテリーで駆動するノートPCでなんとか仕事をしようとするものの、インターネットに接続できず、仕事ができないことにイラついていた。
同僚たちは、ワンセグ機能搭載のスマホで未曽有の大災害の状況を見ながら、これからどうなるのかという不安を抱えていた。
自分は、通勤に使っていた車を立体駐車場に停めており、停電のため車を出せず。
さらに電車も止まっていたため、30km歩いて帰る心の準備をしていた。
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先日、次女の楓子が、
「7月5日になんか大きな地震が起こるみたいだから、ちゃんと備えておこう。」
的な話をしてきた。
「なにそれ?」
詳しく聞くと、
たつき諒という方が1999年頃に書いた予知夢をいくつも記載している漫画の中で、
2011年3月11日に自身が起きることを予言していたらしく。
その漫画が絶版になっていたので、新たに
として出版された漫画では、
「2025年7月に壊滅的な津波が日本を襲う」
との記載があるらしい。
そして、その予知夢を見たのが、7月5日だったらしい。
この日、楓子の学校のクラスでは、この話で持ち切りだったという。
その話を聞いた俺は、ググりまくり、チャピりまくり、情報収集に努めた。
すると、2025年7月には、
隕石が地球に接近する可能性がある、
フィリピンと沖縄の中間くらいのあたりで火山が噴火する可能性がある、
水に対する警告が出ている、
などなど。
自称霊能者や自称風水師のスピリチュアル系のインフルエンサーが発する多くの警告が出てきた。
「これは、本物の予言なんではないだろうか?」
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これまでにどんな予言があったのか。
■ノストラダムスの大予言
16世紀の予言者ノストラダムスが「1999年7の月、空から恐怖の大王が降ってくる」と予言。
多くの人が「人類滅亡」「第三次世界大戦」「核戦争」などと解釈した。
→結果:何も起きなかった。
■マヤ暦による「2012年世界滅亡説」
古代マヤ文明の暦が「2012年12月21日」で終わっていることから、「世界の終末が来る」と騒がれた。
→結果:何も起きなかった。
■ヘヴンズ・ゲート(Heaven’s Gate)集団自殺(1997年)
米国のカルト教団「ヘヴンズ・ゲート」は、ハレー彗星に隠れた宇宙船が地球に来ると信じ、自殺すれば魂がその船に乗れると主張。
→結果:39人の集団自殺が実際に発生。でも何も起きなかった。
■パソコン2000年問題
2000年になると、コンピュータが「00年」を1900年と誤認して暴走し、社会インフラが崩壊すると懸念された。
→結果:色々と費用を投じて対策した企業もあるものの、対策しなかったとて何も起きなかった。
これらは、予言の中でも有名な予言ではあるが、そのすべてが、
ことごとく外れている。
当たっている予言は、たまたまだ、と言って良いだろう。
数うちゃ当たる、だ。
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人類は、その進化の過程で、「不安に対する感度が猛烈に高まった」との論説がある。
・少しでも危険を察知する能力が高い方が生き残る可能性が高かったから
・人類は「認知革命」により未来という虚構を描き、それに対する備えをすることができるようになったから
という主張が主なところだ(と思う)。
人類以外の生物は、
「今、目の前にあることに対する恐怖は感じるが、
まだ起きていない未来に対しての恐怖を感じることはできない」
ということだ。
未来という虚構に対しての不安を感じることができる人間は、
恐怖を感じる予言に対して非常に敏感になり、
その人間の性質を大いに利用した、一部の頭の切れる人が、ビジネスで利用している。
人類の認知革命により、虚構を信じることができるようになったため、非常に大きな力を得たことも事実だが、
その反面、虚構を信じることをズル賢く利用する人が一定数いるという事実。
断言しよう。
有象無象の予言は、予言した人とそれを利用する人々のビジネスでしかない。
たつき諒氏の予知夢の漫画本から、俺らが学ぶべきことは、
・この手の予言に限らず、人々の不安をあおってお金儲けしようとしている人がいること
・うちら人間は、不安に対して非常に敏感であること
・一方、日本では地震などの災害がいつ起きてもおかしくないので、備えておこう
という感じだろうか。
さらに言わせていただくと、
偉大なる予言者の皆さん。
未来のことが分かるのであれば、明るい未来を予言して欲しいです。
予言者のみなさんが、明るい予言しているのであれば、
メディアの方々やインフルエンサーの方々、明るい未来の予言を拡散して欲しいです。
さて、
2025年7月に備えて、楓子と一緒にドン・キホーテに水とアルファ米でも買いに行こうかな。