3人娘の親父が走る。いつだって全力中年。

3人娘の親父がランニングを中心に、日々の出来事をそこはかとなく綴ります。

「あいちゃん」。

人生にはモテ期が3回来る、なんて都市伝説がある。


俺のモテ期は、小学校の高学年の時だった。

クラスの女子が19人しかいなかったのに、バレンタインデーでチョコレートを21個もらった。


それ以降、特にモテ期というモテ期がない。

ということは、これから残りの人生で2回もモテ期がくるってことだ。

今から楽しみでしかたがない。


=====


小学校の高学年の時、俺は良く冷やかされた。

「あいちゃんが、お前のこと好きらしいぜー」

「将来は結婚して、(俺の苗字)+あい だな!」


とか言われて、「あいちゃん」の背中に、

「(俺の苗字)+あい」

と油性マジックで書かれた布テープが貼られたりして、必死にはがしたりしていた。


恥ずかしかった。


俺も「あいちゃん」のことが好きだったから。


そう。

両想いだったんだ。


=====


小学生の両想いなんて、かわいいもんだ。

交換日記をしたり、昼休みに屋上で話をしたり、放課後にトランプをして遊んだり、小学校の横にある公園を散歩したり。

それだけで、胸がはち切れんばかりのドキドキだった。


小中高一貫校だったうちらは、中学校も一緒だった。


「あいちゃん」は、こう言った。

「こうくん(俺のこと)も一緒にバレーボール部に入ろうよ」

嬉しかった。


俺は、中学に入ったら野球部に入ろうと思っていた。

でも大好きなあいちゃんに言われたこともあり、身長が高くなるかもしれないと思い、バレーボール部に入部した。



バレーボール部は、女子と男子でしっかり明確に分かれていた。

練習を一緒にやることもあまりなかった。


バレーボールをやるのは、人生で初めてだった。

俺も、なんとかこなしていたものの、俺より背が高く、がっしりした「高橋君」が、だんぜん上手だった。


あいちゃんとは、運良く同じクラス。

だが、恥ずかしがり屋だった俺は、あまり「あいちゃん」と会話ができなかった。


=====


中学2年生になった、穏やかな暖かい太陽の陽が降り注ぐ春のある日。

俺は、掃除当番の理科室の窓から外を眺めていると、正門付近を歩いている「あいちゃん」が手を振っていた。

「あれ?俺に手を振ってくれているのか?」


あたりを見回してみても、俺以外にいなさそうだ。


ボディランゲージとは言え、久々に「あいちゃん」と会話ができると思った俺は、あいちゃんに向かって「おーい」と手を振った。


すると、俺の死角から、「高橋君」が歩いてきて、正門付近の「あいちゃん」に近づいて、合流した。

ちょっと手を繋いでいた。


「え??」


「あいちゃん、俺と両想いじゃなかったのか?」

「高橋君のことが好きなのか?」


一人で手を振っていた自分が、猛烈に恥ずかしくなり、その場にいても立ってもいられなくなり、理科室から逃げ出した。


=====


「あいちゃん」と「高橋君」は付き合っていたようだった。

俺は、いつの間にかフラれていた。


俺のモテ期は、知らず知らずのうちに終わっていた。



その後、俺は、バレーボールに打ち込んだ。

「ぜってぇに高橋君には負けねぇ」


そして、2年生の終わり頃、俺は、チームのレフトのポジションを勝ち取り、エースアタッカーになった。


「高橋君」もエースだった。

ローテーションで、俺と「高橋君」は対角に位置していた。


勉強も負けたくないと思うようになった。

そしていつしか、クラスで3番くらいに入るくらいの成績が取れるようになった。


=====


「あいちゃん」

俺が小学校の時に好きだった女の子。


中学校になり同じ部に誘われたものの、いつの間にかフラれていた。


でも、そこでフラれたことで、一気に負けん気に火が付き、バレーボールでエースの座を勝ち取るまでになり、勉強でもトップ争いを繰り広げられるようになった。


バレーボールでジャンプを繰り返していたことが、今の俺のランニングを支えているのかもしれない。



「あいちゃん」

俺は、君に会えて良かったよ。



今でも思い出すんだよ。


穏やかな暖かい太陽の陽が降り注ぐ春が来ると。


一人「おーい」と手を振ったあの日のことを。


俺を成長させてくれた、あの時の気持ちと、あの出来事を。


サブ3を目指す俺に、

「あの素晴らしい『あい』をもう一度」。




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