先日のキャンプの時の話だ。
明け方5時頃。
三女がむくっと起きて、突如、
「鼻血が出た!」
慌ててティッシュを探して、三女の鼻をおさえた。
あたりを見ると、Snowpeakのシュラフが、三女の鼻血で血まみれになっていた。
大事にしていたシュラフが血まみれになったショックとともに、昔のツラい思い出が頭をよぎった。
*****
俺は、東京都は池袋駅の駅員室の中で、駅員の人とサラリーマンと思われるおじさんに尋問を受けていた。
ものすごい緊張感だった。
駅員:「で君は、鼻くそをほじっていた、ってことで良いのかい?」
全:「・・・」
サ:「そうですね。私、見てましたから。」
全:「ほじってませんっ!」
サ:「いやいやいや。ほじってたじゃんか。」
駅員:「まぁいいよ。お母さんには連絡しなくても大丈夫かい?少し横になっていく?」
全:「大丈夫です。」
サラリーマンのおじさんは、失笑にも見える笑みを浮かべながら、駅員さんの質問に答えていた。
俺は、そのとき、鼻にティッシュを詰めて鼻血を止めていた。
俺は、確かに鼻くそをほじっていた。
鼻の中の壁面にしっかりと付着した鼻くそを取ったその刹那、鼻の中が熱くなるのを感じ、鼻血が出たのだ。
*****
俺は小学校から電車通学だった。
自宅の最寄り駅は「十条駅」という、今では「埼京線」と呼ばれるJRきっての混雑路線の沿線だ。
小学生当時、「埼京線」ではなかった。
赤羽駅から、十条、板橋、池袋のたった4駅を結ぶ、「赤羽線」だった。
小学校が終わって、電車を乗り継いて、池袋駅から始発の赤羽行きの電車に乗り、ドア付近に立ち、出発を待っていた。
ドアからは、西武線のホームと、「SEIBU」と書かれた西武デパートが見える。
当時、昼間の赤羽線は、非常に空いていた。
俺以外に同じ車両に乗客は数人しか乗っていなかった。
俺は、赤羽線に乗り、出発を心待ちにしながら、鼻の中に鼻くそが溜まっていることを感じていた。
自宅に帰ってから、ゆっくり心置きなくほじれば良かったものの、
その日は、朝にドッヂボールをやり、昼休みにキックベース、体育で鉄棒をやり、グラウンドで過ごすことが多く、帰宅する頃には、ほどよく鼻くそが溜まっていたのだ。
「乗客も少ない。俺が鼻をほじれるチャンスは今なんじゃないか?」
そう思って、俺は思いっきり鼻くそをほじった。
しつこくこびりついた鼻くそが取れた瞬間、俺は最高に至福を感じた。
と、ともに鼻血がじわ~と出たのだ。
「まずい」
俺は、ハンカチを持っていなかった。
もちろんティッシュも持っていなかった。
鼻をつまみながら、必死に手の甲で血を拭きとる。
手の甲に付いた鼻血を、手のひらで拭きとる。
だが、ものすごい勢いで鼻血は次から次へと出てくる。
「まずいぞ。これは、本当にまずいぞ。」
わきの下に滴る汗を感じながら、誰にも見つからないように、必死に鼻血を拭きとり、手の甲でぬぐった。
すると、そこへ近づいていたサラリーマンのおじさん。
「大丈夫か?」
「ほら、ティッシュ使いなよ。」
全:「ありがとうございます」
「鼻くそほじっているからだよ。」
「!!!!!」
見つかっていたのか。。。
俺がこっそり鼻くそをほじっているのを、このおじさんは見ていたのか!!
俺は、このサラリーマンのおじさんのティッシュにより、大惨事を免れた。
そして、このサラリーマンのおじさんと共に、駅員室に向かったのだ。
*****
今でもこの出来事は、鮮明に覚えている。
すごい「はずかしめ」を受けたと感じた。
当時の俺は、小学校2年生。
鼻くそくらいほじるだろう。
俺が鼻血を出したのは、「鼻くそをほじっていたから」だ。
でも、ティッシュをくれたサラリーマンのおじさんは、小学校2年生の俺に、その事実を突きつけ、失笑までしたのだ。
もしかしたら、大人にとっては、小さい子どものちょっとした笑い話、だったのかもしれない。
でも、当時の俺にとっては、ものすごい一大事で、絶対にバレたくない、恥ずかしいことだった。
「公共の場で、鼻くそをほじって、鼻血を出してしまった。」
その事実は、小学校2年生とは言え、内緒にしたかったことだった。
その事実が、サラリーマンのおじさんによって、駅員さんにバレた瞬間、俺は、
「鼻血が出ているにも関わらず、ハンカチもティッシュも持っていなかった絶望感」以上の絶望を感じた。
*****
うちの三女は、鼻血を出しやすい体質のようだ。
これまでにも何度も鼻血を出している。
でも、俺は決して
「鼻くそほじってただろ?」
とは聞かないようにしている。
三女が鼻くそをほじっていたところを見たとしてもだ。
でも、これはちゃんと教えている。
「みんながいるところでは、鼻くそはほじらないようにね。」
と。
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