マラソンのレースを走り切って、トイレに行く。
「うぉっ！！」
赤っぽくなっているおしっこにビビる。
俺はこれほどまでに消耗していたのか。
でも、これ、大丈夫なんだろうか。
てな、少々不安になるような経験をされた方は、ランナーには多いのではないだろうか。
強度の高いランニングや、長い時間のランニングの後、おしっこが赤くなるようなことは昔からよく知られていることのようだ。
ただ、一過性の症状であることが多く、あまり臨床の論文が多くなさそうだった。
ここでは、これまで数か月に渡り調べた、ランニングが原因のおしっこが赤くなる原因とその対策について書きたいと思う。
※ここで記載するのは、運動が原因の一過性のヘモグロビン尿症と血尿についてです。
※慢性的な血尿については、別の見解があると思うので、医師の診断を強くお勧めします。
なぜおしっこが赤くなるのか
高強度のランニングや、マラソンのレースが原因で、おしっこが赤くなる症状としては、大きく2つありそうだ。
一つは、着地の衝撃により、血液中の赤血球が破壊され、ヘモグロビンが腎臓でろ過されて、おしっこに混ざることで赤くなる、
「ヘモグロビン尿症」
もう一つは、運動中に腎臓への血流が不足することで、腎臓のろ過機能が減退し、血液そのものがおしっこに混ざることで赤くなる、
「糸球体性血尿」
おしっこをしてみて、最初は普通だったのに、最後の方にめちゃくちゃ赤くなった。
とか、
最初赤かったのに、最後の方は普通に戻った。
みたいな場合は、「ヘモグロビン尿症」でも「糸球体性血尿」でもない可能性が高い。
腎臓から膀胱、尿管にかけてのどこかに傷を負っている可能性が高いので、即座に医師の診断をした方が良い。
ヘモグロビン尿症
ヘモグロビン尿症の中でも、ランニングが原因のものは、別名「行軍ヘモグロビン尿症」とも呼ばれる。
軍隊が底の硬いブーツで長時間移動した後に、よく見られる症状だからだ。
ランニングでも、度重なる着地衝撃により、赤血球が破壊される。
この現象を「溶血」と呼び、これが原因で、ランナーには貧血が多いとされる。
www.all-out-running.com
溶血が原因で、赤血球からヘモグロビンが出てきてしまい、腎臓でヘモグロビンがろ過され、尿として排出される。
これにより、おしっこが赤くなってしまう。
糸球体性血尿
「糸球体性血尿」は、腎臓のろ過機能が低下することによって、「血液」そのものが尿に混ざってしまう症状を指す。
少々古い論文ではあるが、こちらの「自衛隊中央病院泌尿器科」の岸本医長の論文。
”運動と腎性血尿”
ここに、運動が原因による血尿について、詳細に分析されている。
この論文によると、
・運動中の血液は、心臓、肺、筋肉に多く流れる
・運動中のRPF（腎臓に流れる血流）は50%程度に低下
・運動後のGFR（糸球体の老廃物を尿へ排泄する能力）も50%程度に低下
これらが原因で、血尿が出ることがある。
と記載がある。
激しい運動により、腎臓への血流低下が起こり、腎臓が酸欠になってしまい、ろ過機能の低下を引き起こすということだ。
ちなみに、RPF、GFRともに、24時間以内に復活するということなので、ランニングが原因の血尿は、一過性のものであることが多い。
さらに、水泳などの溶血を引き起こさないような運動でも、血尿が確認されており、
・尿の異常の程度は運動の種目よりも運動の長さ（時間）に重大な関係がある。
との記載もあった。
おしっこが赤くならないためにできること
まずは、溶血をなるべく防ぐためにできること。
・走らない（激しい運動をしない）
これが一番の予防だ。
でも、ランナーたる者、そんなわけにもいかない。
ということで、
・なるべく着地衝撃を和らげる、自分に合ったシューズを選ぶ
ことが重要だと考えられる。
また、着地衝撃を和らげるための、
・ランニングフォームの改善
にも、可能ならば取り組みたい。
さらに、これは予防ではないが、溶血が原因の貧血を防ぐために、
・日ごろから鉄分、ビタミンB6、ビタミンC、たんぱく質を適切な量摂取する
ことは、意識しておきたい。
糸球体性血尿を予防するためにできることとしては、
・走る前、走っている最中に、しっかり経口補水液やポカリなどで水分補給する
ことは大事だろう。
体液に近い成分の水分を補給することで、汗による脱水を防ぎ、結果、血流の低下を抑えることが可能だ。
マラソン走った後、または高強度のランの後、おしっこが赤くなってビビったあなたは、
まずは1日でも良いからランオフしてみよう。
それでも、赤い場合は、迷わずすぐに採尿して、お医者さんを受診して頂きたい。
激しいランの後に、毎回おしっこが赤くなるあなたは、
やはりしっかり採尿して、お医者さんを受診して頂きたいが、、、
・シューズの検討
・ランニングフォームの改善
・鉄分やビタミンの補給
・水分補給
をしっかり行った上で、ランニングしよう。
これが、先日の全力練後に、血便が出た俺からのアドバイスだ。
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