マラソンに限らず、何かをキッカケにやめてしまうことはあると思う。
テニス、ゴルフ、サッカー、バスケなどのスポーツしかり。
ピアノ、ギター、フルート、バイオリンなどの楽器しかり。
読書、ストレッチ、筋トレ、お酒などの日々の習慣的な取り組みしかり。
やめてしまう理由は、人それぞれだろう。
仕事、引っ越し、妊娠、子ども、モチベーション、、、
自分はと言えば、2011年頃から、健康診断の結果に恐れをなして、「走ること」が習慣化したのだが。
職場に一緒に走る人がいなくなって、走らなくなり。
近所に一緒に走る人ができて、また走るようになり。
モチベーションが下がって、走らなくなり。
モチベーションが少し上がってきて、また走るようになり。
故障しては、、、治っては、、、
みたいな波を2011年以降、これまでずっと繰り返している。
そのな状況の中で、年齢は重ねて言っているものの、マラソンに関しては、
「しばらく走らなくても、また走るとタイムが戻ってくる」
という現象がある気がしている。
「一度達した走力には、ブランクがあっても、戻りやすい」
という気がしている。
ここでは、ブランクがあって、再開することに二の足を踏んでいる人に対して、
「その二の足、踏まなくていいな」
「どんどん二歩目、三歩目、四歩目と歩みを進めていこう」
って感じてもらえるような、論文を見つけたので、紹介したい。
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飛ぶ鳥を落とす勢いで、記録をどんどん更新していた池江璃花子選手が急性リンパ性白血病を患っていたことは、記憶に新しい。
2019年2月に急性リンパ性白血病であることを発表し、治療に専念。
水泳の第一線から退いた。
治療は順調に進んで、退院できたのは2019年12月。
実に10か月以上もの間、水泳のトレーニングをできなかった。
そこから、リハビリ、トレーニングを積んで。
小規模な大会などにも出場し。
先日、2021年2月7日に、ジャパンオープンの女子50メートル自由形決勝に出場。
24秒91
という素晴らしい記録を出した。
ちなみに池江選手の自己ベストは、2018年4月の日本選手権でマークした24秒21(日本記録)だ。
本格的なトレーニングをし始めて、1年そこそこで、日本トップレベルの泳力まで持ってくる池江選手。
「まじですげー」
とか、簡単な言葉では失礼過ぎるくらい、すごい。
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「以前できていたことは、やめていた期間があっても、またすぐにできるようになる」
という現象。
皆さんにも経験があると思う。
例えば、自転車。
例えば、ピアノ。
例えば、キータイピング。
例えば、英語のスピーキング。
例えば、高校時代の部活で取り組んでいたこと。
例えば、タバコや酒。
最初に習得するまでにかかったトレーニング量と比較して、
再開して、同様のレベルまで持ってくるまでのトレーニング量は、少ない。
んじゃないかな、って思う。
実は、これ、事実である可能性が高そうだ。
こちらの2010年の理化学研究所の記事の中にある、
という記事だ。
人間が、運動を習得する場合。
最初は、
大脳皮質からの運動指令
抹消の感覚器からの信号を大脳皮質が受信
受信した感覚に応じて、運動指令
という、大きなループのフィードバック制御を行っている。
これを繰り返し繰り返し行うことで、
より脊髄に近い小脳に運動モデルができあがり、より高速に、効率的に運動ができるようになる。
フィードフォワード系の制御ができるようになる。
あらかじめ予測し、最適な運動ができるようになる。
運動の長期記憶は、この「小脳」に作られるのだ。
より長期間、運動を繰り返すことで、運動の記憶は「小脳皮質」から、より小脳の中心部である「小脳核」に移動する。
「小脳核」に移動した運動の記憶は、「長期記憶」となり、劣化しにくい記憶となる。
ただし、「精緻な運動」は長期記憶に定着しにくいと言及されている。
ちょっとしたら忘れてしまう、「短期記憶」として脳に記憶される。
だからこそ、トップレベルの人たちは、毎日のトレーニングを欠かさないことが重要だと考えられる。
基礎的な部分は長期記憶として残っているが、
精緻な運動、「勘」とか「巧みなスキル」などと言われるようなものは、日々のトレーニングで維持、向上する必要があるのだろう。
そして、
この長期記憶を小脳核に定着させるためには、
集中トレーニング
よりも
分散トレーニング
(休憩をほどよく取りながらのトレーニング)
の方が効果が高い。
という理化学研究所の記事もある。
運動学習の記憶を長持ちさせるには適度な休憩が必要 | 理化学研究所
繰り返してきたことは、小脳核に長期記憶として定着する。
だから人間は、一度自転車に乗れるようになったら、しばらく乗らなくても、すぐに自転車に乗れるのだ。
だから、俺も。
たぶん、俺も。
また、サブ3.5できるよね。
俺の長期記憶よ、今こそ甦れ。
俺の小脳よ、がんばれ。
そして、
俺自身もがんばれよ。
さてと。
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