「パパ、今日は走らないの？」
「え？」
思わず聞き返した。
在宅勤務中、リビングにお茶を飲みに来た俺に、長女の桜子が、そう聞いてきた。
「だから、今日は走らない？って聞いてるの。」
「それって、桜子、走りたいってことか？」
「うん。。。だって、運動不足だから。」
「そうか。分かった。じゃぁ今日も一緒に走ろうな。」
＊＊＊＊＊
その後、長女がランニングに誘ってくれたことに、嬉しすぎて、浮足立ちながら仕事をしていた。
「なんか、今日の全力さん、テンション高めですね。」
なんて、後輩君にバレたりした。
ちなみに、職場では「全力さん」とは呼ばれていない。
勤務を終えて、ランパンとランTに着替え始めると、家の前でご近所さんたちと遊んでいた三女の璃子が帰ってきた。
「璃子も走るから、片付けが終わるまで待っててね！」
と。
お、おう。
すると、次女の楓子。
「いいなぁ、楓子も走りたいよ。」
と。
お、おう。
さすがに楓子は、まだ走れないな。
昼間のお散歩では、小学校までの往復を歩くことができず、途中から奥さんのおんぶで帰ってきたと言う。
「走るのは、まだちょっと無理じゃないか？」
と、言うと、楓子はすごく残念そうで、寂しそうな顔をした。
ていうか、3月2日に、俺がランニングに誘ったときは、3人揃って断ってきたじゃないか。
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この1か月。
みんな、大変だったもんな。
一緒に運動して、清々しい気持ちになりたいんだよな。
キロ7分ペースで、2km。
桜子と璃子と3人で、喋りながら走った。
14分くらい。
すごく濃密な時間を過ごした。
5月6日まで続くことになった休校の期間。
それまでに、楓子とも一緒に走りたい。
3人の娘と一緒に、近所を2km。
楓子が入院して回復して、さらには新型コロナウイルスの影響で、普段と違う生活を強いられている今。
以前はできなかった、3人娘と一緒に走ることが実現するかもしれない。
俺は、少し元気が出てきたよ。
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