3人娘の親父が走る。いつだって全力中年。

3人娘の親父がランニングを中心に、日々の出来事をそこはかとなく綴ります。

ランナーのマスク問題と科学と宗教と。

言葉を選びながら、慎重に書いたので、長文になってしまいました。

お時間があるときに、暇つぶしで読んで下さい。



*****



5月11日。

東京の最高気温は30度を超え、横浜も28度と、この時期としては、かなり暑い一日だった。


在宅勤務の後、長女と2人で、こんな感じで文字を書いてみて、ゆるジョグした。
f:id:Alloutrun:20200512162514j:plain



キロ7分半程度のゆるゆるジョグ。


でもね、Buffしながら走ったから、暑くて息苦しくて、

「これはマジで死んでしまう。」

って思った。


暑い時期のマスクジョグ。

マジで危険だと感じた。


そして、ジョグの最中、頻繁に長女の様子を確認しながら走った。



中国では、マスク付けて1500m走をした中学生が3名亡くなったと言う。
www.yomiuri.co.jp



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ここでは、ランナーのマスク着用問題について、情報と自分の考えをまとめてみたのでご紹介したいと思う。

自分の考えと想い

「ジョギングの時は、マスクをするべし」

みたいな考えが広まる端を発したのは、山中教授の発信によるところが大きいと思っている。
※Youtubeリンク:ジョギングエチケット
※発表後、いくつかの注釈が付け加えられている。


そこに、「ウイルス感染」に対しては言及していない論文の例の画像が追加され、情報が捻じ曲げられ、不要な恐怖を煽ったと思っている。



これまで、数々の文献を調べた結果、自分の意見としては、

「咳もくしゃみもしていない人のマスク着用による、感染拡大防止への効果は、非常に限定的」

だと考えている。


それが、走っている人だとしても歩いている人だとしてもだ。

それが、屋内であろうが屋外であろうがだ。

※これは「普段の生活内」での意見で、医療現場ではまた別の見解がある


咳やくしゃみが出ている人は、マスクした方が良いし、そもそも外を出歩かない方がいいだろう。


そして、マスクを着用するよりも、

「定期的に手洗いうがいを行うこと」

「密集した場所に行かないこと」

「人との物理的距離をとること」

「免疫力を維持するための適度な運動/睡眠/食事」

の方が感染拡大防止には、大きく貢献すると考えている。



そう考えているが、外に出る際は、ジョグをするときも含めて、マスク的なものを着用するようにしている。


それは、「エチケット」としてだ。


でも、このエチケット、これから迎えるであろう猛暑の時期も続けなくてはいけないのだろうか。



自分が他の人とすれ違う場合、その人が咳もくしゃみもしていないなら、別にマスク着用してなくても、全く気にならない。

一方、マスクしないで、肘の裏側とかで覆ったりもせずに、咳やくしゃみをしている人には、絶対に近寄りたくない。


権威のある組織のマスク着用に対する考え

では、マスク着用について、権威のある組織からは、どのような情報発信が行われているのだろうか。

WHO(世界保健機関)と、日本国内のランニング学会からの情報をご紹介したい。

WHO

WHOのマスクに対する考え方は、2020年4月6日のこちらのドキュメントが、最新のものだ。

"Advice on the use of masks in the context of COVID-19"


しかるべき論文が引用されており、科学的根拠に基づいたWHOの発表だ。


この中では、こう書かれている。

However, there is currently no evidence that wearing a mask (whether medical or other types) by healthy persons in the wider community setting, including universal community masking, can prevent them from infection with respiratory viruses, including COVID-19.

しかしながら、様々な環境にて健康な人のマスク(医療用のマスクだとしても)の着用が、新型コロナウイルスを含む感染症のウイルスを防げるという明確な根拠は、現在のところは存在しない。


マスクが、感染を防げるというエビデンスはないと、はっきり言及している。


そして、

マスクは、咳やくしゃみが出ている人が着用する。

手洗いをしっかり行い、距離を取ることが最も重要。

その上で、マスクをする場合は、その用法を厳守すること。

と記載がある。


マスクの正しい用法についても、WHOのHP内に記載がある。
"When and how to use masks"



着用したら、マスクの前面は触らない。

着用後に、ずらしたりしない。

使用後は、耳のゴムを持ってはずす。

使い捨てのものは、使用後は捨てる。

外した後は、手洗いをしっかりする。

と記載がある。



俺は、たまにマスクの前面を触って、ズラしたりしていたので、正しいマスクの使い方ができていなかったようだ。


WHOとしては、基本的に健康な人は、マスクをする必要はないという見解だ。


ただし、「発症前の健康そうに見える人からも感染することがある」との記述があるので、

「自分はウイルスを持っているかもしれない」

との意識を持ったうえで、責任ある行動をとる必要はあるのだと思う。


ランニング学会

日本国内のランニング学会が、

外出自粛要請時のランニング愛好者の皆様へのお願い

をHP上に記載している。


全部で以下の7つのお願いだ。

上記HPのリンク内のページには、各項目、詳細が書かれているので、ぜひご一読いただきたいと思う。


1. 発熱や咳のある場合はもちろん、体調に不安のある方は外出をしないでください。

2. 走る前に手を洗いましょう。

3. 密集・密接をつくらないよう、一人で走りましょう。

4. ランニング中も感染拡大防止の対策を取りましょう。

5. エチケットとして、マスクまたはフェイスガード等の着用をお勧めします。

6. ランニングが体調不良やケガの原因にならないようにしましょう。

7. ランニングを終えて帰宅したら手洗い、うがいを行いましょう。また、十分に睡眠をとりましょう。


一つ一つ言葉を慎重に選んだ上で、書かれているように感じる。


そして、ランニング学会としては、マスク着用を「エチケット」として「お勧め」している。

「5. エチケットとして、マスクまたはフェイスガード等の着用をお勧めします。」


出たな、「エチケット」と思った。

科学的根拠が不十分ゆえの「エチケット」。


思い出した天動説とガリレオ=ガリレイ

ここ最近、ランナーに対する風当たりが強く、

「マスクなしでジョギングするのは何事か!」

なんていうご意見があったりもする。

走る人と走らない人のパワーバランス

そこでふと思った、疑問。

「ランニングやジョギングを習慣として行っている人はどのくらいいるのだろうか。」


こちらのスポーツ庁が平成31年に行ったアンケートでは、

「この1年間で行ったスポーツ」という項目があり、

ランニングは、全体の「14.0%」の人が行った。

とある。


すなわち、1年間に1回もランニングしていない人は、全体の86.0%ということになる。


ランナーは、マイノリティなのだ。

さらに言うと、サブ4以上は、マラソンを走る人の上位25%程度なので、キロ5分より速いペースで走るような場合は、さらにマイノリティとなる。


普段、全く走らない86%の人から見たら、異様に見えるのかもしれない。



そんなパワーバランスの中、

「エチケットとして、ランナーはマスクをすること推奨」

という考え。



コロナ禍の自粛で、ただでさえストレスが溜まっている中、

相手は未知のウイルスという状況で、

何を信じれば良いのか分からなくなっている、昨今。


科学的根拠が薄かったとしても、

「権威ある人が言っていたから」

「メディアで何度も放送されていたから」

という理由で、信じてしまう人がいることは十分納得できると思う。



やや唐突かも知れないが、こう感じた。

人は、危機的な状況においては、科学よりも宗教を信じるのかもしれない。


俺も、自分の娘が小脳炎で苦しんでいた頃、必死に神頼みしたり、ご先祖様にお祈りしていた。

俺自身が「死ぬかもしれない」と思ったときにも、神様、仏様にお祈りした。


この状況と天動説

この状況、ガリレオ=ガリレイが、今では常識である「地動説」を唱えたときと似ているなと感じた。

ガリレオは、「地動説」を実証する科学的根拠を多数発表しながらも、1600年代当時、世の中の大半が信じていた「天動説」をくつがえすことができなかった。


当時、ガリレオは、異端として訴えられ、ローマ教皇庁による宗教裁判で、一時は終身禁固となった。


科学的根拠に基づく事実は、「地動説」。

ただ当時の常識は、「天動説」。


科学的根拠がありながらも、キリスト教の考えと矛盾する「地動説」を唱えたガリレオは、宗教裁判で処分を受けた。


私たち一般人は、教科書を読んで「地動説」が正しいと理解しているが、地球が動いているのか、天が動いているのか、個人では確かめようがない。



科学的根拠が薄い「マスク着用による感染予防効果」。

それを信じている、未知のウイルスと戦っていて、何が真実が分からない多くの人々。


マスクを着用しないと、バッシングを受ける、昨今。


マスクが効果があるのか、ないのか、どちらが真実なのか、個人では確かめようがない。



科学的根拠がないものを信じる。

その点で、マスク問題と、天動説に、何となく類似する点を感じた。


それは、神様の存在、仏様の存在を信じる、宗教と同じなのかもしれない。




これから迎える夏。

マスクしながら、激しい運動を行うのは、命の危険を伴うと思う。

マスクなしでも、猛暑の中の運動は危険を伴うくらいだし。



ストレス解消のための軽い運動くらい、ストレスなくできるような社会になって欲しいと、切に願うばかりだ。


ただ、マスク着用による、感染予防効果を科学的に立証することは、非常に困難だと思われる。


猛暑の中、マスクしながら走って、死なないように気を付けたいと思う。



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