レース前になると、どうしても焦ってしまって、走り過ぎてしまう。
なんてことはないだろうか。
実は、俺も次の日曜日に横浜マラソンが控えていると言うのに、その1週間前のよこはま月例で20kmを全力で走ってしまった。
でも、そんな焦りは禁物だ。
本番のレースで、今の実力をしっかり出すためには、その前に疲労を抜くことが非常に重要になる。
この疲労抜きの事は「テーパリング」と呼ばれる。
テーパリングを効果的に行うことで、本番でのパフォーマンスが、2-5%程度向上するとも言われている。
ここでは、この「テーパリング」の効果的な方法について、論文調査した結果をまとめる。
トレーニング後のフィットネス‐疲労モデル
あるトレーニングをした後のフィットネス(健康状態)と疲労とパフォーマンスの時系列の変化をモデル化したものがある。
1982年に提唱されたモデルで、その後もこのモデルについての議論は行われているようだが、おおよそ今でもこのモデルが基本となっている。
"The Fitness-Fatigue Model Revisited: Implications for Planning Short- and Long-Term Training"
詳しく知りたい方は、こちらの論文を読んでいただきたい。
フィットネス‐疲労モデルは、こちらの図の通りだ。
※論文のFigure.1から再構成
あるトレーニングをすると、一時的にパフォーマンスが下がり、疲労が蓄積される。
その後一定の時間を置くと、パフォーマンスが向上し、疲労も回復する。
というものだ。
パフォーマンスが下がり、疲労が蓄積された状態で、さらに高強度のトレーニングを積むと、逆効果になる。
どんなアスリートでも、本番レースのタイミングでピークを持ってきたいものだ。
このモデルは、理解できるとして、次に疑問になるのが、
「本番レースにピークを持っていくために」
・トレーニングの強度をどれほど下げれば良いのか
・どれくらいの期間トレーニングの強度を下げればよいのか
効果的なテーパリングの方法
そんな疑問に答えてくれる論文が見つかった。
"Effects of Tapering on Performance: A Meta-Analysis"
こちらの論文は、水泳選手、サイクリスト、ランナーのレース前のテーパリングについて、
・期間
・練習量
・練習頻度
・運動強度
・テーパリングの減少のさせ方
をヒアリングして、テーパリングのパフォーマンスをまとめたものだ。
ランナーは、110人分のデータをまとめてあった。
※論文のTable.2から再構成
こちらによると、
練習量: 21-40%に減らす
運動強度: 維持するか、少し強度を上げる
練習頻度: 維持
テーパリングの期間: 8ー14日間
テーパリングのパターン: 徐々に下げていく方法
が、多くの人が本番にてパフォーマンスを向上させられた、テーパリングの方法だ。
※水泳とサイクリングは、少し傾向が違うので、知りたい方は論文を参照ください。
テーパリングのパターン
テーパリングのパターンとしては、大きく二つのパターンがある。
・一気に下げる方法(Step)
・徐々に下げる方法(Progressive)
また、徐々に下げる方法(Progressive)は、3つに分類される。
・線形に下げる方法(Linear)
・ゆっくり下げる(Slow decay)
・はやく下げる(Fast decay)
図にするとこちらのようになる。
ランニングの場合は、徐々に練習量を下げる方が、一気に下げるよりも、本番でのパフォーマンスが高いということだ。
ランニングのレースに向けたテーパリング方法
ランニングのレースに向けて、最大限の効果を発揮できる方法は、論文によると、以下の通りだ。
練習量: 21-40%に減らす
運動強度: 維持するか、少し強度を上げる
練習頻度: 維持
テーパリングの期間: 8ー14日間
テーパリングのパターン: 徐々に下げていく方法
1週間から2週間前に練習のピークを持ってくる。
その後、練習のペース(速度)は維持するか少し速めに走り、
練習の頻度は維持して、
走る距離を、本番に向けて徐々に少なくする。
ただし、テーパリングの方法は、普段の練習の仕方によって最適な方法が変わる可能性についても言及されていた。
上記のテーパリングの方法を基本として、自分に最適な方法を見つけ出して頂きたい。
そんなテーパリング方法を意識して、距離短めの少し強度を上げたランをしてきた。
さぁ、次の日曜日の横浜マラソンには、ピークを持ってくるぞっ!
でもね、やっぱり、普通の市民ランナーなら、本番レース1週間前に20kmを本気で走っちゃいけないんじゃないかと思うんですよね。
横浜マラソンで、ピークを持ってこれるのかなぁという一抹の不安。。。
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