「君は 何を今 見つめているの」
「若い悲しみに 濡れた瞳で」
小学生の頃に、隣のクラスが合唱コンクールで歌っていた曲が、今でも強烈に頭に残っている。
「太陽がくれた季節」
という曲だ。
高音のパートと低音のパートが、綺麗にハモっていて、「なんて良い詩なんだ」って、なんとも安い感想を持った。
今でも、「君は 何を今 見つめているの」と歌っているあのクラスのみんなの姿が、鮮明に思い浮かぶくらいに。
*****
「お前は、何を考えているんだ。」
「ちゃんとはっきり言葉にしないと、パパもママも分からないぞ。」
最近、次女が塾を休みたいと言うので、理由を聞いたが、ソファに顔をつけ、一向に何も言ってくれなかった。
次女は、怒られると、何も言わなくなる。
この日も、塾を休むと、パパとママに怒られると思って、言葉が出てこなかったのだろう。
ゆっくり静かに、次女が話するのを待ち、顔を見る。
「頭が痛くて、塾を休みたい。。。」
ものすごく小さな声で、そう言った。
次女の口から「頭痛」という言葉が出てくると、背中に戦慄が走る。
「そうか。なら、今日はしっかり休もう。」
そう言うしかない。
次女が、ソファに顔をうずめている姿を見て、「次女は、体調が悪いのかもしれない」と思った。
そして、言いにくい理由があって、パパとママに怒られるのが怖いのだろうと。
でも、それはどんな風に、どのくらい悪いのか、言葉にしてくれないと分からない。
自分の想像が、その通りなのか、言葉にして欲しい。
「君は、何を今見つめているの?」
「何を考えているの?」
一方、言葉にしたところで、なんだか薄っぺらいこともある。
嘘八百の無機質な言葉を並べているだけならば、すぐに分かる。
どこに本心があるのかは、分からない。
「君は、何を今見つめているの?」
「何を考えているの?」
結局は、他人の気持ちは分からない。
多かれ少なかれ、想像の域を出ない。
自分の気持ちや考えを、他の人に伝え、理解してもらうことの難しさ。
「太陽がくれた季節」を思い出し、そんなことを考えてしまった。
この歌、そんなことを言いたい詩ではないんだけどね。
君は何を今 見つめているの
若い悲しみに 濡れたひとみで
逃げてゆく白い鳩 それとも愛
君も今日からは ぼくらの仲間
とびだそう 青空の下へ
君は何を今 待ちつづけるの
街の片すみで ひざをかかえて
とどかないあの手紙 別れた夢
君も今日からは ぼくらの仲間
とび込もう 青春の海へ
青春は太陽がくれた季節
君も今日からは ぼくらの仲間
燃やそうよ 二度とない日々を
燃やそうよ 二度とない日々を
少しずつ、前に。
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