マラソンの大会に出場した後は、打ち上げでビールをたらふく飲む。
練習会に参加した後は、みんなでビールを飲んで盛り上がる。
「今日は走ったし、ちょっとぐらい良いよね。」とビールをちょっとどころではないくらい飲む。
「今日はオフだし、飲んじゃおうかな。」と二日酔いになるくらい飲む。
そんなことは、市民ランナーであれば、日常茶飯事だろう。
俺も良く飲む。
走ろうが、走るまいが、とにかく飲む。
いや、正確には「飲んでいた」。
そうなんです。
最近、少し飲む量を控えているんですよ。
そしたらこんな感じに。
www.all-out-running.com
痩せてきただけじゃなくて、体が軽くなって、良く眠れるようになって、男も感じられるようになって、すこぶる調子が良いんですよね。
ビールの量を減らしたのは、
「疲労回復には、お酒の飲み過ぎは良くない」
ということが、論文を読んでよーく分かったからだ。
アルコールがパフォーマンスと回復に与える影響
今回の調査で参考にしたのは、以下の2つの論文だ。
"Alcohol: Impact on Sports Performance and Recovery in Male Athletes"
「飲酒がスポーツのパフォーマンスと回復に与える影響」について書かれた論文たちを調査した調査論文。
※文献1
筋トレと持久力トレーニングを行った後のたんぱく質の再合成に、アルコールがどの程度影響があるのかを実験で調べた論文。
※文献2
アルコールの取り過ぎが与える悪い影響
運動後の飲酒、または日々の飲酒が体に与える影響は大きい。
テストステロンの分泌を阻害する
継続的な飲酒は、「テストステロン」の分泌を阻害するとのことだ。
テストステロンは、筋骨格を作るために重要なホルモンで、特に男性にとっては、「男らしさ」に関連する重要なホルモンだ。
持久的な運動を継続するとテストステロンの分泌が減るという報告もあり、マラソンなどの長距離をターゲットとするランナーは、ただでさえ分泌が減少している恐れがある。
俺も思い当たる節がある。
確かに、ランニングをすることで、無欲になり、悟りを拓くかのような感覚に襲われることがある。
ツイッターに潜むオネェキャラ、トシ姉さんもテストステロンの分泌が阻害された結果、作り出された可能性がある。
激沈上等Tシャツのキミ兄さんは、インターバル走を取り入れることで男らしさが増すと豪語しており、インターバル走の割合が減るとともにキミ姉さんへと変貌を遂げることがある。
加齢とともに分泌が減少する「テストステロン」。
持久的な運動を行うことで分泌が阻害される「テストステロン」。
継続的な飲酒により分泌が抑制される「テストステロン」。
飲酒量を減らすことにより、テストステロンの分泌が高まることにより、筋骨格を合成する力が高まり、男らしくなれるはずだ。
テストステロンの効用については、こちらの記事が分かりやすい。
gooday.nikkei.co.jp
脱水症状を引き起こす
お酒を飲むと、そのアルコール成分を分解する必要がある。
アルコールを分解するためには、アルコールを分解する酵素の働きを促進するために、水分が必要になる。
また、アルコールには、利尿作用があるため、体内に溜まっている水分が尿となり排出されやすくなる。
アルコールの分解に水分が必要な上に、アルコールが原因で、尿として体内の水分が排出されてしまうのだ。
この大きく2つの要因により、体は脱水症状に陥りやすい。
ランニングを行う上で、水分が重要なことは言わずもがなだ。
免疫力が低下する
アルコールを慢性的に摂取すると、免疫力が低下すると言う。
アルコールにより、病原菌と戦う白血球が作られにくくなり、さらには、アルコールの分解により肝臓が弱り、肝臓の働きが弱くなることで、免疫力が下がるとのことだ。
42.195kmを走るマラソン。
体にとってかなり過酷な運動だ。
そんな過酷な運動の後に、お酒を飲み過ぎると、多くの負担がかかることは、容易に想像できる。
俺は、マラソン走ったり、きっついトレイルを走ったりした後は、口唇ヘルペスができちゃったりする。
打ち上げでお酒を飲んでしまったりすると、よりヘルペスもできやすいんだろうな、なんて思った。
筋肉の再合成が抑制される
こちらが、もっとも気になった影響だ。
上記の文献2に詳細が書かれていたのだが、運動後の飲酒により、筋肉の再合成が抑制され、運動後の疲労回復に大きな影響を与えるとのことだ。
論文内の実験では、
・運動後にプロテインの補給を行った集団
・運動後にプロテイン補給と飲酒を行った集団
・運動後に炭水化物補給と飲酒を行った集団
の3つに分けて、筋肉組織の再合成が、運動の8時間後にどの程度行われていたのかを評価していた。
それぞれの集団の補給と飲酒のタイミングは、こちらの図の通りだ。
※文献2のFigure.1より再構成
飲酒は、体重1kgあたり1.5gのアルコール量を摂取した。
運動後、8時間後の筋肉組織の再合成の割合のグラフがこちらだ。
※文献2のFigure.7より引用
PRO:運動後にプロテインの補給を行った集団
ALC-PRO:運動後にプロテイン補給と飲酒を行った集団
ALC-CHO:運動後に炭水化物補給と飲酒を行った集団
運動後にプロテインの補給を行った集団と比較すると、
運動後にプロテイン補給と飲酒を行った集団 → 24%減
運動後に炭水化物補給と飲酒を行った集団 → 37%減
と、飲酒をしたことにより、筋肉組織の回復が、大幅に減少していたということだ。
恐ろしい結果だ。
せっかく強度の高い練習をできたと思っていたのに、飲酒により筋肉の回復が抑制され、効果が得られない可能性があるということだ。
ビール何杯までならOKなのか?
文献2の実験では、体重1kgあたり1.5gのアルコールを摂取していた。
これは、
体重50kg
→ 75gのアルコール
→ 350ml缶ビール×4.3本
体重60kg
→ 90gのアルコール
→ 350ml缶ビール×5.1本
体重70kg
→ 105gのアルコール
→ 350ml缶ビール×6本
体重80kg
→ 120gのアルコール
→ 350ml缶ビール×6.9本
ということになる。
なお、一般的な350mlの缶ビールで、アルコール度数5%であれば、17.5g程度のアルコールが含まれている。
文献1によると、
「体重1kgあたり0.5g程度の飲酒であれば、筋肉の回復に有害である可能性は低い」
と述べられている。
また、「高強度の運動後は、体重1kgあたり1.0g以上の飲酒は避けた方が良い」
と書かれている。
筋肉の回復を最優先に考えた場合、体重1kgあたり0.5gのアルコールに控えるとなると、飲めるビールの本数は以下の通りだ。
体重50kg
→ 25gのアルコール
→ 350ml缶ビール×1.4本
体重60kg
→ 30gのアルコール
→ 350ml缶ビール×1.7本
体重70kg
→ 35gのアルコール
→ 350ml缶ビール×2本
体重80kg
→ 40gのアルコール
→ 350ml缶ビール×2.3本
全然飲めねぇ。。。
最後に
お酒を飲み過ぎると、体にとってあまり良くはない影響が様々あるということが分かった。
特に、マラソンのタイムを縮めるために一生懸命練習を積み重ねている体にとっては、悪影響が大きいと言うことが分かった。
だからと言っても、お酒は飲みたい。
レースや練習会の打ち上げでも飲みたい。
筋肉の回復を最優先した場合、体重約60kgの俺が飲めるビールの量は、
「350ml缶×1.7本」
ということになる。
少なすぎる。
凄まじく少ない。
まずは、平日の晩酌を減らすところから始めてみよう。
まずはそこからだ。
だって、皆さんと一緒に飲むときは、筋肉の回復のことそっちのけで、飲み会を思いっきり楽しみたいですからね!!
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