「長距離ランナーのパフォーマンス向上に筋トレは効果があるのか」
多くのランナーの方々が、気になっているのではないだろうか。
その疑問に対して、しっかりと答えを出している論文を発見したので、ここで紹介したいと思う。
本日紹介するのは、こちらの論文だ。
"BRIEF REVIEW EFFECTS OF STRENGTH TRAINING ON RUNNING ECONOMY IN HIGHLY TRAINED RUNNERS :A SYSTEMATIC REVIEW WITH META-ANALYSIS OF CONTROLLED TRIALS"
和訳すると、
「鍛えられたランナーにおける、ランニングエコノミーに対する筋トレの効果のメタアナリシス(複数の論文の分析結果)」
となる。
全699の論文を調査して、要点をまとめた、非常に価値のある論文だ。
詳細の分析を行った5つの論文について
筋トレがランニングエコノミーに効果があるのかどうかを調査するために、この論文では、2015年に発表されたスポーツ関連の699の論文の中から、選りすぐりの論文を抽出している。
その抽出条件は、以下の通りだ。
1.実験参加者が、中長距離の競技ランナーであること
2.実験参加者が、VO2max60以上であること
3.ちゃんとした論文誌の論文であること
4.少なくとも4週間以上の筋トレを行っている論文であること
5.ランニングエコノミーを実験前と実験後に計測していること
この5つの条件をクリアしていた論文は「5つ」
5つの論文合計で、93名の中長距離ランナーが、実験に参加していた。
筋トレのランニングエコノミー向上への効果
5つの論文すべてで、「筋トレはランニングエコノミー向上に効果がある」と結論付けている。
どのくらいの効果があるかと言うと、5つの論文で効果の開きはあるものの、
筋トレをやった人とやらない人を比較したところ、筋トレをやった人は「0.54~3.78%」のランニングエコノミーの向上が見られた。
ここでは、「筋トレ」と表現しているが、英語では「Strength Training」と表現されている。
そもそも中長距離ランナーとして日ごろから鍛えているランナーが、4週間程度の筋トレを行うことでランニングエコノミーが向上すると言うのだ。
では、どのような筋トレを行えばいいのだろうか。
5つの論文で、取り入れていた筋トレはそれぞれ異なるが、おおよそ以下のような傾向があった。
※詳細は、上記論文のTable3をご確認いただきたい
論文で紹介されていた「Strength Training」、すなわちここで言う「筋トレ」は、基本的には、ショートスプリント、プライオメトリックス、レジスタンストレーニングの組み合わせだ。
■ショートスプリント
・20m-150mのダッシュ × 5本~10本
■プライオメトリックス
・スキップ
・ジャンプ
・けんけん
・ジャンプスクワット
■レジスタンストレーニング
・クランチ
・背筋
・スクワット
・レッグプレスなどの足の筋トレ
なるほど。
これは、今までの論文調査などから判明してきたこととほぼ同様だ。
1.スピードトレーニングがパフォーマンスを向上させる
スピード強化にもなるインターミッテント走が効果がある。
www.all-out-running.com
2.プライオメトリックスがランニングエコノミー向上に寄与する
ナイキ・オレゴンプロジェクトでも取り入れられている筋スティフネス向上のためのプライオメトリックスが効果あり。
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3.体幹トレーニングは重要
ナイキ・オレゴンプロジェクトでも取り入れられている体幹トレーニングは、やはり重要。
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これまで、スクワットなどの足に効かせるレジスタンストレーニングは、取り入れてこなかったが、上記のスピードトレーニング、プライオメトリックス、体幹トレーニングに加えて「スクワット」も取り入れていこうと思う。
筋トレの実用的な取り入れ方
この手の過去の論文を調査したレビューの論文は、まとめとして、「PRACTICAL APPLICATIONS」という項目で、実用的な取り入れ方を記載しているものが多い。
この論文では、以下のように記載があった。
そこそこ鍛えている中長距離のランナーに対してもStrength Trainingは、ランニングエコノミー向上に寄与する
・週に2-4回程度、強度40-70% 1RM程度で、故障しない程度の強度でレジスタンストレーニングを実施
・プライオメトリックスを週に2-3回程度実施
・持久的なトレーニング3に対し、Strength Trainingは1の割合がおすすめ
・2か月から3か月程度は継続して行うと効果がある
ジムなどに行って、本格的な筋トレを行えない市民ランナーの方であっても、
■ショートスプリント
・20m-150mのダッシュ × 5本~10本
・インターミッテント走(疾走区間をいかに本気で走るかも重要)
■プライオメトリックス
・スキップ
・けんけん
・ジャンプ
■レジスタンストレーニング
・スクワット
・クランチ
・背筋
・Runner Touch
と言ったメニューは、手軽に取り入れることが可能だと思う。
自分の練習の方向性に間違いがなさそうなことを確認できた+レジスタンストレーニングをもっと取り入れても良いということが分かった、この論文。
非常にためになった。
明日からも、サブ3.5目指して、練習がんばるぞ!
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