3人娘の親父が走る。いつだって全力中年。

3人娘の親父がランニングを中心に、日々の出来事をそこはかとなく綴ります。

ランニング前のストレッチは、ダイナミックストレッチ。

ランニングの前は、欠かさずストレッチをしているという方、多いのではないだろうか。

実は、そのストレッチ、間違っているかもしれない。


俺は、ランニング前、いわゆるストレッチは、しない。


以前、論文を調査し、ランニングエコノミー向上には、筋スティフネス向上が必要ということが分かった。
www.all-out-running.com


簡単に言うと、スーパーボールが弾むように走ることが重要。

空気の入ったボール(高スティフネス)と、空気が入ってないボール(低スティフネス)だと、良く弾むのは空気の入ったボール。

ストレッチをすることで、筋肉がほぐれ、スティフネスが下がる。
これにより、ランニングエコノミーが下がると考えているからだ。


ランニング前には、ストレッチの代わりにウォームアップとして、以前調べたナイキオレゴンプロジェクトでも取り入れられている、フォームドリルの一部を行っている。
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■スタティックストレッチとダイナミックストレッチ

アキレス腱や太もも、ふくらはぎなどを、同じ体勢を維持して「じわー」っと伸ばすストレッチ、これをスタティックストレッチと呼ぶ。

一方、関節を動かすことを繰り返す動作をダイナミックストレッチと呼ぶ。


これらのストレッチでは、
・筋肉をほぐす
・関節の可動範囲を広げる
・筋肉への神経伝達効率を高める
という効果がある。

これらの効果により、ストレッチにより運動時のケガの可能性が低くなる、運動で発揮できるパフォーマンスが向上すると考えられていた。

が、ケガの可能性の低下、パフォーマンスの向上に対して、スタティックストレッチは効果がない、むしろ逆効果であるということが、近年の数多くの研究で報告されている。


ランニング前のストレッチについて、最近の研究状況を調べてみたので、本日はその報告をしたいと思う。


■スタティックストレッチがまねく走力低下

俺が見つけたのは、こちらの2010年に発表された論文だ。
"Effects of Static Stretching on Energy Cost and Running Endurance Performance"

和訳すると
「スタティックストレッチが、ランニングの持久能力とエネルギーコストに与える影響」
という、俺が知りたかった内容ドンピシャのタイトル。

多くの論文に引用されている良い論文だ。

この論文では、驚くべき内容が記されている。

スタティックストレッチを行った場合(SS)と、全くストレッチを行わない場合(NS)で、30分間走を行い、
・走れた距離
・心拍数
・消費カロリー
を比較している。


・30分間で走れた距離
NS > SS
ストレッチしない方が長い距離走れた

・心拍数
SS > NS
ストレッチしない方が低い心拍数だった

・消費カロリー
SS > NS
ストレッチしない方が消費カロリーが低かった


と、スタティックストレッチを行うことで、30分間走で走力が落ちてしまうという衝撃の結果が報告されていたのだ。

スタティックストレッチをやるくないなら、ストレッチしない方が良いという、にわかには信じられない結果だ。


■ダイナミックストレッチで得られる走力向上

では、ダイナミックストレッチが走力に与える影響はどうなのだろうか。

こちらもドンピシャの2015年に発表された論文が見つかった。
"Acute Effect of Dynamic Stretching on Endurance Running Performance in Well-Trained Male Runners"


こちらの論文は、
酪農学園大学 山口太一准教授
の論文。
ストレッチに関しての研究を長いことされている。


和訳すると
「ダイナミックストレッチがトレーニングを積んでいる男性ランナーのランニング持久能力に与える急性の影響」
という感じ。


論文内のFig.2に取り入れたダイナミックストレッチが記載されているので、興味のある方は論文を確認いただきたい。

この論文内では、90%VO2Maxの速度で走って、どれだけの距離を走り切れるかというタスクを、ストレッチなしとダイナミックストレッチで比較している。

こちらが、その結果のグラフ。
実にストレッチなしと比較して、ダイナミックストレッチを行うことで18%以上の走力向上が得られている。

f:id:Alloutrun:20180531220543j:plain
※上記論文のFigure4を引用


まじかよ!
ダイナミックストレッチをやるだけで、そんなに走力向上すんのよかよ!

論文内では、3000mから5000m程度の競争であれば、ダイナミックストレッチは非常に効果があると述べている。


■ストレッチしてもケガに対するリスクは変わらない

では、子どもの頃に教えられたウォームアップ代わりのスタティックストレッチは、一体なんだったのか?

また、他の論文では、ストレッチの効果がどのように報告されているのか?

それを調べてみたところ、過去のストレッチ研究に関するまとめの論文を見つけた。
"Acute effects of muscle stretching on physical performance, range of motion, and injury incidence in healthy active individuals: a systematic review"


この2015年に発表された論文は、ストレッチの研究について、ほぼすべてが網羅されている。


効果があるという論文、逆に効果がないという論文、それぞれの立場の論文があるものの、多くの論文での傾向は以下の通りだ。

・運動前のスタティックストレッチは、運動能力の低下をまねく
・スタティックストレッチするくらいなら、ストレッチしない方が良い
・運動前のダイナミックストレッチは、運動能力を向上させる

・スタティックストレッチは、関節の可動範囲を広げる効果はある
・ストレッチによるケガのリスク低減の効果はないという立場の論文が多い


ということで、どうやら、スタティックストレッチは、ケガのリスク低減の効果もはっきりしないようだ。


■俺なりのまとめ

スタティックストレッチにしても、ダイナミックストレッチにしても、
・筋肉をほぐす
・関節の可動範囲を広げる
・筋肉への神経伝達効率を高める
という効果は、多かれ少なかれあると考えられる。

しかし、
筋肉をほぐす

筋スティフネスが低下

スーパーボールのように弾めなくなる

ランニングエコノミー低下
の逆効果。

関節の可動範囲を広げる
※この効果は数10分でなくなると論文にある

普段以上に動く範囲が広いので、余計に筋肉を使う

余計にエネルギーを消費

エネルギー消費量が上がってしまう

長距離走には逆効果
(ダイエットには効果がありそうだが)

と3つの効果のうち、2つは持久走に対しては逆効果になると考えられる。


持久能力に対して良い効果を発揮できるのは「筋肉への神経伝達効率を高める」ことのみと考えられる。


そのため、ランニング前のウォーミングアップには、
・あまり筋肉をほぐさず
・可動範囲を無理に広げず
・筋肉への神経伝達効率を高める
ような運動が最適と考えられる。

おそらくこのような運動がダイナミックストレッチなのだろう。

そして、ランニングにより適したダイナミックストレッチが、ナイキオレゴンプロジェクトでも取り入れられているフォームドリルなのだろうと、俺は考えている。


子どもの頃に教えられた、運動前のスタティックストレッチ。
それは、近年の研究では、走力低下をもたらすことが分かっている。


運動前のスタティックストレッチをやめることで、実はより速く走れる。


スタティックストレッチをしないことを不安と思う方も多いと思うが、研究結果を信じて、ダイナミックストレッチやフォームドリルを新たに取り入れてみてはいかがだろうか。


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