ミトコンドリアと毛細血管。
ランニングを日常としている方であれば、一度は聞いたことがあるであろうこれらの単語。
ミトコンドリアは、酸素を取り込むことで、筋肉を動かすエネルギーを作る。高強度のトレーニングで速筋を鍛えることで、ミトコンドリアは増え、速いスピードでの持久力が向上すると言われている。
毛細血管は、こちらもやはりエネルギーを体内で作る際に必要な酸素を運ぶための道路にあたるもの。強度の弱いLSDなどのトレーニングで毛細血管を増やすことができると言われている。
毛細血管の増加については、こちらのエントリーを。
インターバル走が嫌いな俺が、インターバル走の効果を知ることで、インターバル走に打ち込む考え方を変える必要があると感じていた。
そこで今日は、高強度のトレーニングの効果として噂されている、ミトコンドリアの増加についてこれまで調査したことをまとめたい。
■速筋と遅筋と乳酸作業閾値
・遅筋
筋肉の収縮速度は遅くパワーは発揮しにくいが、疲れにくく、持続的な運動に適している。
筋繊維が細いため、蓄えられるグリコーゲンの量は少ないが、ミトコンドリアの数が多く毛細血管が発達している。
・速筋
筋肉の収縮速度が速いくパワーを発揮しやすいが、疲れやすい性質があり、瞬間的に力を発揮する運動に適する。
筋繊維が太く、グリコーゲンを多く蓄えられるが、ミトコンドリアの数が少ない。
・乳酸作業閾値
筋肉がエネルギーを発揮する際は、ATP(アデノシン三リン酸)が必須。
※このあたりの詳細は、「TCAサイクル」「クエン酸サイクル」などのキーワードでググっていただければ良いと思う。
筋肉(主に速筋)がエネルギーを作る過程でグリコーゲンを分解する際に、乳酸が作られる。ここでミトコンドリアが活躍する。
筋肉(主に遅筋)内のミトコンドリアは、乳酸を利用してエネルギーを作り出す。
速筋がエネルギーを作る際に、乳酸を作り出し、
遅筋がエネルギーを作り細に、乳酸を使う。
乳酸が処理しきれれば、TCAサイクルが維持され、運動が継続できるが、速筋が作り出す乳酸の量が、遅筋で使う乳酸の量を上回ると、TCAサイクルが維持できず、運動が継続できなくなる。
この閾値が「乳酸作業閾値」である。
ここまでで分かることは、ミトコンドリアの数が増えれば、乳酸を処理する効率があがり、TCAサイクルを維持できる(継続可能な)運動の強度が上げられる、ということだ。
■ミトコンドリアの数を効率的に増やすためには
速筋は、遅筋的な性質を持つType IIaと遅筋的な性質を持たないType IIbに分けられる。
遅筋的な性質を持つType IIaは、トレーニングにより増やすことが可能といわれている(速筋の遅筋化)。
このType IIaは、速筋の性質を持ち、ミトコンドリアの数が多いため持久的な運動が可能となる筋肉だ。
すなわち、速筋が動員されるような高強度の運動を行うことで、Type IIaのミトコンドリアの数を増やすことが重要だ。
ラットを使った実験に関する論文、
低強度及び高強度走行運動がラットヒラメ筋の代謝及びミトコンドリア数に与える影響
では、乳酸作業閾値以下の運動をさせたラットと、乳酸作業閾値以上の運動をさせたラットでは、後者のほうが優位な差でミトコンドリアの新生が見られたと報告している。
まとめると、
乳酸作業閾値以上の速筋を動員する高強度のトレーニングを行うことで、速筋のミトコンドリアの数を増やすことが可能。これによりより高い強度での持続的な運動が可能になる。
ということになる。
論文を探すと、どうしてもラットでの実験ばかりが出てくる。
俺がラットであるならば、これは当てはまるということなのか。
この疑念については、ラットではない強力な方の言葉により、払拭可能だ。
2012年ロンドンオリンピック日本団表の「藤原 新 選手」だ。
ぜひ、この動画を見ていただきたい。
・ミトコンドリアは一番きついときに増える
・ミトコンドリアが増えた効果は、同じペースで走ったときの心拍数で分かる
・「ミトコンドリア」と叫ぶと苦しさに前向きになれる
なるほど。
俺がラットではなくとも、大丈夫な気がしてきた。
そして、高強度トレーニングの代表「インターバル走」。
きつときにこそ、ミトコンドリアは増え、俺は強くなれる。
今すぐに走りに行き、「ミトコンドリア!」と叫びたくなった俺だった。
いつもありがとうございます。こちらを応援ポチしてください!
にほんブログ村