日曜日の夜。
娘たちが学校に行く準備をしていた。
中学2年生の長女は、出席番号の前半グループと後半グループに分かれて、毎日通うことになった。
小学校5年生の次女も、同じような運用。
小学校2年生の三女は、1日おきに半日通う。
そして、奥さんも通いでの仕事が再開することになった。
「今日は、誰が朝出発して、誰が午後出発して、いつ帰ってきて」ていうのが毎日違って、予定が立てづらい。
俺だけは、今まで通り、基本在宅勤務。
「出勤や出張が必要であれば、問題なし」という運用に変更。
俺は、あまり変わりがないけれど、世の中が動き始めるのは、いいことだ。
長女と三女は、学校に行けることを非常に楽しみにしている様子だ。
だが、楓子は、一人、浮かない顔をしている。
「どうした、楓子。学校楽しみだろ?」
「うん。。。」
小さな声で返事する楓子。
楓子は、家でリハビリを続けてはいるものの、まだ万全ではない。
歩くときにふら付くことがあったり、うまくしゃべれないことがある。
前と違うことが友達にバレてしまうことを、不安がっているようだ。
「大丈夫だよ。心配ないよ。みんな楓子の友達なんだから。」
そんな月並みな言葉をかけることしかできない自分が、にくい。
*****
翌日、月曜日。
桜子と楓子は、午後から学校に行くことになっていた。
お昼休みに、みんなで昼食を食べて、2人を送り出す。
三女の璃子は、お留守番だ。
ちなみに、この日、璃子は、ずっとiPadをやっていたようだ。
まぁ、いいだろう。
「今やっていることは、すべて将来の自分に跳ね返ってくるからね。」
と、教えた上で、ずっとiPadをやっているのだから、心配は無用だ。
Youtubeの「スライムをこね続けている動画」を見たことも、将来、何かの役には立つのだろう。
この日の勤務が終わるころ、楓子が帰宅してきた。
書きかけだったメールを放置して、リビングに行く。
「楓子、どうだった?」
楓子は、笑顔だった。
「〇〇ちゃんと、△△ちゃんといっぱい話してね、、、、」
えらいたくさん話してくれた。
30分ほど、ゆっくり話をしてくれた。
書きかけだったメールは、明日送ることにしよう。
楓子の話をしっかり聞きたい。
おうおう、そうかそうか。
そうか。
3か月くらい前に、生死を彷徨うような大病を患い、
2か月くらい前に、退院して、そこから徐々に見えないくらいの速度で回復し、
不安を抱えながらも登校してくれて。
笑顔で帰って来れたね。
娘が学校に行って、楽しい気持ちで帰ってきてくれることに、こんなにも幸せを感じられるのは、あれだけ大変なことがあったからだよね。
だから、俺は今日もビール飲んでしまうぞ。
こんなにめでたい日は、なかなかないからな。
24日連続でビールを飲み続けてきたが、24日目のビールの味は、格別だった。
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