「・・・って言ってんだろっ!」
長女の桜子が、俺に向かって、怒号を浴びせてきた。
ちょっと、ビックリした。
ほほぉ。やりおるな。
と心の中で呟き、間をおいて、一度心を落ち着かせた。
そして、こう言った。
「おい。言葉遣いに気を付けろよ。」
「今のはパパが悪かったからいいけど、もしママに向かってそんな言葉遣いをしたら、俺は許さないからな。」
「カーッ!!」となってしまいそうだったが、冷静に諭すように。
*****
俺も若かりし頃、
ナイフみたいに尖っては、触るものみな傷つけていたような時代があった。
行く先も分からぬまま、盗んだバイクで走り出していたような時代もあった。
行儀よく真面目なんてできやしなくて、夜の校舎、窓ガラス壊して回った時代もあった。
壊れそうなものばかり集めてしまう時代もあった。
汚れもないままに、少年から大人に変わる道を探していた時代もあった。
恋じゃNAI、愛じゃNAI、でも止まらNAI時代もあった。
。。。
そこまで酷くはなかったが、まぁ、俗にいう「反抗期」のようなものは、俺にもあった。
母親に向かって、
「くそばばぁ!」
と言ってしまったことがある。
両親とお酒を飲むと、たまにそんな昔話をすることがある。
当時、言ってしまった後に、後悔したものだ。
おそらく、桜子も、今、
「やべー」
と思って、後悔しているのだろう。
*****
思春期、反抗期などと呼ばれる、10代の頃。
理性ではダメだと分かっていても、親や先生に反抗したり、
危険だし良くないことだと分かっていても、無謀な行動に出たり、
普段通りに生活していても、妙に不安を感じたり。
この10代の頃に特有の言動は、脳の成長の過程で、少なからず起こることだと言う。
ここで、紹介したいのは、こちらのサラ=ジェイン・ブレイクモアさんによるTED Talksでの講演。
「青年期の脳の不思議」
www.ted.com
脳には、「前頭前野」という感情や行動を制御する部位がある。
人間は、他の哺乳類と比較して、この「前頭前野」が大きく発達しており、理性を持ち社会的で知的な行動をとれるようになったと言われている。
「前頭前野」は、10代のうちには成長しきっておらず、大人になっても成長が持続するという。
また、他人の表情や行動から相手の感情を読み取る能力を司る「前頭前皮質内側部」も、10代のうちはまだ成長の途中だ。
一方、
危険や恐怖を感じ、脳の中心部にある「扁桃体」。
やりがいや、挑戦することによる高揚感を生み出す「大脳辺縁系」。
これらの部位は、10代のうちにほぼほぼ成長が止まる。
10代のうちは、前頭前野の成長が十分でないため、感情や行動のコントロールがうまくいかないことが起きると言う。
意味不明な恐怖を感じたり、無謀な挑戦をしたり、相手の感情をうまく読み取れなかったりする。
これが、「反抗期」の原因の一つだ。
*****
冒頭の桜子の怒号。
それは、桜子が脳の成長の真っただ中にいるから。
人間として、当然の成長をしているからなんだ。
今後もこんなことはあるんだろう。
でも、そんなときは、一度冷静になり、
「娘は成長の過程にいるのだ」
と認識して、冷静に対処しよう。
今回は、桜子が、いつまでもiPadで、良く分からん動画をずっと見ていて。
「そろそろやめたら?」
と言ったのに、iPadをやり続けたから、俺が怒りに任せて、
桜子の足の裏をくすぐり続けたことが原因だった。
足の裏をくすぐったら、
「きもちわるっ!」
「やめて!」
と、引き続き動画を見続ける桜子。
それでも、俺はめげずに桜子の足の裏をくすぐり続けた。
そして、
「『きもちわるっ』って言ってんだろっ!」
という流れだ。
今後は、足の裏をくすぐり続けることはやめたいと思う。
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