遠く離れた人とコミュニケーションを取ること。
古代の人々にとっては、非常にコストがかかる作業であった、遠隔コミュニケーション。
「遠く離れた人に直接会いに行くか、誰かに伝達を頼むか」
それが、もっとも古典的な遠隔コミュニケーションだった。
その後、火を焚き、煙を上げて、遠く離れた人に記号を送る、
「のろし」
が使われるようになる。
のろしは、
「烽火」と書いたり、「狼煙」と書いたりする。
「オオカミ」
が使われているのは、オオカミの糞の煙が、まっすぐ上りやすいため、のろしに使われていたためだと言われている。
そして、文字が普及し、木や紙に文字をしたため、伝書鳩やら馬やらを使い、文書を送るためのネットワークができる。
鳩の扱いは難しく、馬が文書ネットワークの中心となり、馬の休憩所は、
「駅」
と呼ばれるようになる。
人間が直接、伝達手段となる「飛脚」も登場し、飛脚同士がその健脚を争う大会ができたりもした。
それはマラソンの始まりだったりもする。
1800年代中期、0と1の組み合わせで記号を送る、モールス信号が発明され。
1876年。
グラハム・ベルが電話の発明をし。
コンピュータネットワーク、インターネット、携帯電話、スマートフォン、、、
と、この50年間で、急速な発展を遂げることになる、遠隔コミュニケーション。
メール、電話、テレビ電話、Web会議、LINE、Twitter、Instagram、Facebook。
様々な遠隔コミュニケーションがある中、
遠く離れた人に、
人間は、何を伝えたいと思っているのだろうか。
自分は、何を伝えたいのか。
いや、遠く離れた人だけじゃなく。
近くにいる、身近な人に対しても、
自分は、何を伝え、何を表現したいのか。
~~~~~
年末に、長女の桜子が中学の卒論を書く必要があるとのことで、相談に乗っていた。
「気配の正体を探る実験をする」
とか言っている。
第六感は、気配を感じることなんじゃないか、だから気配を感じる方法を実験すると。
家の台所の広いスペースを使って、
桜子が後ろを向いているところで、
三女の璃子と次女の楓子が、そろりそろりと桜子から少し離れたところに立ったり、立たなかったり。
璃子と楓子が準備ができたら、
「いいよ!」
と言って、後ろを向いていた桜子が、
「いる!」とか
「いない!」
とか言っている。
ほぼ、100%、正解している。
「やっぱり、気配を感じられるんだ!」
と、桜子は嬉しそうだ。
桜子が、後ろを向いた状態でも、後ろにいる人の気配を感じられるかどうかの実験をしていて、
気配を感じられていることが実験で分かったんだ!
と、嬉しいらしい。
いやね。
璃子や楓子が歩いているときに、「ミシ、ミシ」って音がしているじゃんよ。
「桜子、それはね、音で後ろの人を感じているんだよ」
「残念ながら、第六感じゃぁない。」
「卒論、何を書くか、もう一度一緒に考えてみようよ。」
そう言って、ググりながら、色々一緒に考えた。
~~~~~
1月3日。
正月休みの最終日の朝。
桜子は、
と言う。
だいぶ俺の仕事と近いところじゃないか。
だが、こんな正月の真っただ中なので、どうやらやっていないようだ。
「じゃぁ、静岡の御殿山に行きたい」
また、だいぶ遠いじゃないか。
「なんでそんなところに行きたいの?」
「『狼煙台』があるみたいなの」
狼煙。
そうか。
数日前に、通信の歴史について、ちょっと話して、その後、自分で調べたみたいだね。
「もう少し近いところで狼煙台、あるんじゃないか?」
ということで、箱根駅伝で、母校がシード権を獲得できるかどうか気になりながら、
相当に後ろ髪を引かれながら、急遽、行くことになった。
「津久井湖城山公園」へ。
車で1時間。
塾があるため楓子と奥さんは不参加で、行きたい行きたいとグズる楓子には申し訳なかったけど。
桜子と璃子を連れて三人で、
いざ、津久井湖城山。
烽火台跡がある、
ということは分かっていたのだけど、到着して、パンフレットを見るも、どこに烽火台があるのか分からない。
とりあえず、城山の山頂を目指す。
山頂までは約30分。
そこそこの斜面を登る。
道中にそれらしき烽火台跡はなく。
山頂からの帰りに、少し横道にそれた
「飯縄神社」付近に、烽火台跡はあった。
付近の山々が一望できる広場。
周辺には、烽火台のネットワークがあったと言う。
~~~~~
様々なコミュニケーションツールがある現代。
昔では繋がることがなかったような人とも繋がろうと思えば繋がれて、
コミュニケーションができるようになった。
一方、そこにわずらわしさを感じて、感じなくても良いストレスを感じるようにもなった。
あたりを一望できるこの広場から、昔の人たちは、何を感じ、何を見ていたのだろう。
離れたあの人に伝えたいことは、一体何なのだろうか。
繋がるべき人は、一体誰なのだろうか。
それって、いろんなツールができたら、答えが出る疑問なのだろうか。
久々の山登り。
帰りの車では、桜子も璃子もぐっすり寝ていて。
途中の海老名のサービスエリアで、楓子が大好きなメロンパンを買って、帰ってきて。
楽しかったなぁ。
さてと。
にほんブログ村