キングオブコント2012。
そこで優勝した「バイきんぐ」。
彼らの伝説のネタの一つ、「自動車学校」。
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このネタは、本当に秀逸だと思う。
笑いの何たるかを知り尽くしている、とすら思わせてくれる。
この大爆笑したネタを何度も見返した。
「いしや~きいも、おいもっ!」
「・・・なんて言えばいい!?」
「これ、なんて言えばいいの!?」
最高に面白い。
そして、このネタを見るたびに、思い出すことがある。
*****
大学1年生の夏。
自宅から電車で2つ行ったところにある自動車学校に通っていた。
自宅周辺の地元の人たちのほとんどが、その自動車学校に通っていた。
自動車学校で、地元の友達と再会したりすることもあるようで、待ち時間に仲良く話をしている人たちも多かった。
そんな中、俺は小学校から電車通学で、地元の友達がほとんどいない。
ただただ車の運転のためだけに通っていた。
いつも通りその自動車学校に行き、何人かと同乗して、教習を受けた。
人見知りの俺は、特に誰とも話をせずに、いつもと変わらず帰ろうとしていた。
すると、一人の女の子が話しかけてきた。
その女の子は、小柄で元気そうな印象。
夏場だからなのか、日に焼けた肌がすごく健康的だった。
おしゃれな感じの洋服で、当時はめずらしいネイルにまでおしゃれをしていた。
「もしかして、〇〇くん(本名、以降「全力中年」)じゃない?」
ん?
誰だ、この子?
「え?俺のこと知ってるの?」
「あ、やっぱりそうだったんだ!でも、その感じだと私のこと分からないみたいだね。」
「んーーーー。名前は?」
「△△だよ。」
名前を聞いても分からない。
「ごめん。思い出せないや。。。」
「みどりヶ丘幼稚園で一緒だった△△だよ。」
やばい。全然思い出せない。。。
「あーーーー。みどりヶ丘幼稚園で一緒だった△△さんか!」
全然思い出せないけど、なんとなく思い出したフリをしてみた。
久しぶりだね的な話から、近況を少し話して、じゃぁ駅まで一緒に帰ろうという話になった。
自動車学校から出ようとすると、雨が降っていた。
俺は、傘を持っていなかった。
すると、その女の子は、
「傘一緒に入っていいよ。」
え?
「いいの?」
「いいよ!一緒に帰ろうよ。」
18歳で初心(うぶ)だった俺にとって、夏の薄着の状態で一つの傘をさして男女が一緒に歩くなんてことは、猛烈に恥ずかしかった。
ときおり肌と肌が触れ、お互いの心の距離が縮まる感覚だった。
ナイス、雨!!!
正直、はじめ会ったときは、全然なんとも思わなかったが、話をしながら俺の腕に彼女の肩が触れるたびに、なんだか好きになっていっているような気がした。
そして、しばらくしたら、彼女はこう言った。
「あー、言うかどうか迷ってたんだけど・・・」
なんだなんだ??
「私、幼稚園の時、全力中年くんのこと好きだったんだよね。」
は?
虚をつかれた俺は、すぐに言葉が出てこなかった。
「なんだろう。。。」
彼女は、続ける。
「なんか、全力中年くんって、他の人と違う雰囲気があったじゃない。で、話してたら、今も当時と変わらないなぁと思って、、、言っちゃった。」
一言一句、忘れもしない。
何と言えばいいんだ、何と返せばいいんだろう、そう思って放った俺の一言。
「そうだったんだ。。。ありがとう。」
そして駅に着いた。
「私、こっちなんだ。全力中年くんは逆方面だよね。」
「また会ったときはよろしくね。ばいばーい!」
すごくあっさりとバイバイした。
ホームまでの階段を上り、人の少ないホームに立つと、向こう側のホームに彼女が立っていた。
笑顔で手を振っていた。
自宅に帰った俺は、幼稚園の時の写真を見返していた。
その後、彼女に会うことはなかった。
*****
バイきんぐのコントを見るたびに、あの当時の情景と言葉たちが鮮明に蘇る。
「いしや~きいも、おいもっ!」
「・・・なんて言えばいい!?」
「私、幼稚園の時、全力中年くんのこと好きだったんだよね。」
「・・・なんて言えばいい!?」
虚をつかれて何も言えなかった俺は、なんて言えば良かったのだろうか、と。
そして、彼女はどうしたかったのだろうか、と。
もし、今、そんな場面がやってきたとしたら、俺はどう反応するのだろうか、と。
「・・・なんて言えばいい!?」
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