人間が操作する機械やモノ。
その機械やモノを操作を行うための手段を「ユーザインタフェース」と言う。
PCのキーボードやマウス、スマートフォンのタッチパネルのことだ。
テレビのリモコン、据え置き型電話の受話器やダイアル、照明の電源ボタン、ドアノブ、フライパンの取っ手、はさみ。。。
機械やモノと人間の境界、それを「ユーザインタフェース」と言う。
ユーザインタフェースをデザインするうえで、重要な考え方の一つに
「アフォーダンス」
という考え方がある。
認知心理学者でもあり、ユーザインタフェース研究の第一人者である「ドナルド・ノーマン」という方が提唱した考え方だ。
ドナルド・ノーマン著のこちらの本は、業界ではあまりにも有名な一冊だ。
「アフォーダンス」
とは、
「『この機械(モノ)は、こう操作すれば良い』と想起させること」を言う。
例えば、
据え置き型電話の受話器は、あまり何も考えなくても、受話器を耳の横と口元に運び、電話をしてしまう。
ドアノブは、時計回りにひねって押すことでドアが開くことがなんとなく分かる。
PC上で、マウスを使って、ドラッグすると、対象物を移動させるということが身についている。
このようなユーザインタフェースは、「アフォーダンスがしっかりデザインされている」と言える。
逆に、「このドアは、横に引けば良いのか、押せば良いのか分からない」みたいなドアは、「アフォーダンスがデザインされていない」と言える。
前置きが長くなったが、ある日、俺は一つ気付いたことがあった。
「PCのマウス、究極のユーザインタフェースなんじゃないか」
俺の仕事のパートナーに、超絶プログラミング能力が高い技術者の方がいらっしゃる。
多種多様なプログラミング言語を操るだけではなく、様々なライブラリやSDKにも精通しており、さらに様々な技術分野にあかるい。
そんな方と一緒にお仕事できることは、非常に恵まれていると思う。
その方は、しましまのボーダーのシャツとニット帽を好む。
「しましまニットのエンジニア」だ。
「しましまニットのエンジニア」と打ち合わせの最中。
最近の開発状況を説明して下さったときのことだ。
PCを立ち上げ、彼が作成したプログラムを起動するとき。
マウスでクリックするたびに
「よいしょっ!」
と掛け声をかけていた。
ちょっと重たいプログラムを起動する際は、
「ん~~、よいっしょっ!」
軽いファイルを移動する際は軽快に、
「ょぃしょっ!」
俺は思った。
「これらの掛け声、彼の所作との一体感が凄まじい。。。」
「しましまニットのエンジニア」のPC操作は、流れるように淀みなく、「よいしょ」の小気味よい掛け声とともに、素敵なメロディを奏でていた。
「カチッ!カチカチッ!」
「ん~、よいしょっ!」
「カチッ!」
「ょぃしょっっ!」
超アフォーダンスしてる。
彼ほどのエンジニアになると、椅子から立ち上がるときの「よいしょ」と同等のレベルで、PCのファイル操作を行えるのだろう。
マウスという境界が、いやPCまでもが彼の体の一部になっているかのような、不思議な感覚にとらわれた。
俺も、一応エンジニアだ。
俺もいずれは「しましまニットのエンジニア」のようにエンジニアとして一流になりたいと思っている。
だから俺も、マウスを使ってPCのファイルを操作する際に、
「よいしょっ!」
と言う練習から始めている。
結構、恥ずかしい。
でも、一流のエンジニアになるための登竜門だと信じて、俺は「よいしょ」の練習をしている。
自分の体の一部のごとくマウスを扱えるようなエンジニアを目指して。
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