マラソン、トライアスロン、100マイルレース、5000mレース。
とにかくキツい。
レース終盤は、心肺と脚に限界を感じ、スピードが落ちてくる。
だが、その限界、本当の限界なのだろうか。
心理的限界と生理的限界
「火事場の馬鹿力」と表現される、火急の状態で発揮される凄まじいパフォーマンスがあると言われている。
この「火事場の馬鹿力」を科学的なアプローチで説明している論文は多くある。
1956年に東大の猪飼先生によって書かれたこちらの論文では、
身体構造による限界を「生理的限界」
神経活動や心理的条件による限界を「心理的限界」
と定義付けている。
気持ちに左右される心理的限界が先にやってきて、生理的限界まで出すことができないという。
生理的限界は、その個人によって一定。
心理的限界は、心理的な条件などで、いちじるしく左右されると言う。
何らかのことが要因となり、心理的な条件のフィルターが外されたとき、心理的限界が生理的限界に近接し、「馬鹿力」が発揮されると言及されている。
確かに、
「ここでやらなくては、俺は死ぬかもしれない」
と感じた時、ものすごい力を発揮できるのかもしれない。
でも、俺はまだ死なない。
普段の生活を送っている中で、命の危険を感じるほどの状況はなかなか無い。
では、生理的限界ギリギリのパフォーマンスを発揮するためには、何が必要なのだろうか。
心理的限界を超えるために
声を出せ!
猪飼先生のこちらの論文では、「かけ声」の有効性を述べている。
ある運動を繰り返し継続すると、発揮する筋力は徐々に落ちてくる。
ところが、「かけ声」を出すと、出したタイミングで一気に筋力が向上するのだ。
その筋力の継続時間は、4秒程度。
ときには、10秒から2分程度継続することもあると言う。
※上記論文の第8図より
声を出すことで、一時的に筋力が復活するということだ。
催眠をかけろ!
冒頭で紹介した猪飼先生の論文の中では、かけ声以外にも、「催眠の効果」についても言及されている。
「強くなるという示唆がある催眠」を行った場合、実に「26.5%」の筋力向上があった。
また、逆に
「弱くなるという示唆がある催眠」を行った場合、「31.7%」の筋力低下が見られた。
※冒頭の論文の第1表より
被験者が6人と少人数ではあるため、向上/低下の幅の信頼性は低いが、面白い結果だ。
確かに、一流のアスリートは、試合前に瞑想などを行い、「絶対にできる」と強く念じる人もいると言う。
まとめ
マラソンを走っていると、
「もうキツ過ぎる。止まりたい。」
と思うこともある。
でも、それは「心理的限界」であり、まだ「生理的限界」ではない可能性が高い。
キツいと思ったら、声を出そう。
「うっひょーーっ!!きっもちぃーーー!!」と。
そして、自分に催眠をかけよう。
「俺は強いっ!俺は速いっ!絶対にこいつらをブッコ抜いてやるっ!!」と。
声を出し、催眠をかけることで、より「生理的限界」に近い、最高のパフォーマンスを発揮できるはずだ。
心理的限界を突破するのだ。
その1秒を削り出せっ!!
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