3人娘の親父が走る。いつだって全力中年。

3人娘の親父がランニングを中心に、日々の出来事をそこはかとなく綴ります。

東京五輪マラソンにおける暑さ対策。スタート時刻変更と道路舗装について。

2020年に開催される東京オリンピック。

オリンピックの開催時期は、7月中旬から8月中旬だ。

これは、IOC(国際オリンピック委員会)によって決められていることで、開催時期を変更することはできないと言う。

開催時期に関しては、放映権を獲得する巨大スポンサーの意向が大きく、巨大ビジネスとなっているオリンピックの開催時期は、資本主義の上で決まっているらしい。


皆さんご存知の通り、この時期の東京は、猛暑の中の猛暑。

外に立っているだけでも汗がにじみ出てきて、水分なしには命の危険すら感じる。

さらに、ランナーにとっては、長距離を走ることは非常に厳しい時期だ。

ちなみに俺も、先日の猛暑の中のよこはま月例マラソンで5km走り切れずに、3km全力後は、歩きながらゴールし、猛暑の中のランニングの厳しさを強烈に体感したところだ。


なお、東京オリンピックのマラソンは、

女子マラソン:8月2日
男子マラソン:8月9日(オリンピック最終日)

にそれぞれ予定されている。

招致段階では、マラソンのスタート予定時刻は7時30分だった。


そこで、真夏に開催される東京オリンピックのマラソンにおける、暑さの対策について、どのようなことが行われているのかしっかり調べてみた。

東京五輪マラソンコース

東京オリンピックのマラソンコースは、2018年5月に国際陸上競技連盟(IAAF)の承認を得て、正式に決定した。
tokyo2020.org


残り5kmからの上り坂が、選手たちにとっては非常にタフで、猛暑の中のコンクリートジャングルを走る非常に厳しいレースになりそうだ。

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※図は、東京五輪公式HPより


皇居、東京タワー、浅草と、東京の観光名所を一通り押さえているコースだが、夏場の大会であり、坂もあることからタイムはあまり期待できなさそうだ。


マラソンコース上の気温

東京マラソンのコースにおける、スタート時刻7時30分からゴールが想定される10時頃までの気温については、多くの研究者が調査を行っており、気温の高さに警鐘を鳴らしている。

このあたりは、毎日新聞のこちらの記事が分かりやすい。
mainichi.jp


また、学会の全国大会のポスター発表で、マラソンを走っている時間帯の体感気温に近いMRT(放射熱を平均化した気温)を測定した発表があった。
東京2020オリンピックマラソンコースにおける数値解析による選手及び観客に対する対策効果の予測

そのポスター発表の中の図は、こちら。
f:id:Alloutrun:20180718192557j:plain


マラソンコース上の各地点における、スタート予定時刻のMRTは30度そこそこだが、9時半ころには35度を超え40度近くに達している場所もあることが分かる。

これは、マジでヤバい。
マラソンブロガーちまきさんの言う、ヤバい状況の最上級表現


1984年8月5日のロサンゼルスオリンピックの女子マラソンにて、ガブリエラ・アンデルセン選手が熱中症か脱水症状か、ふらつきながらゴールしたシーンは、一度は目にしたことがあるのではないだろうか。
この時の最高気温が30度程度だったと言われている。
※写真は、ネットから拝借
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東京五輪マラソンにおける暑さ対策

大会組織委員会は、この暑さへの対策として、いくつかの方法を検討していた。

大きくは、2つある。

1.スタート時刻の変更

2.路面の暑熱対策

の2つだ。

スタート時刻の変更

招致段階では、マラソンのスタート時刻は「7時30分」だった。

が、少しでも涼しい時間帯に走る、ということでスタート時刻を「7時」に変更するように大会組織委員会が動いているようだ。

2018年7月18日に、IOCに時刻変更について提案し、承認されたため、正式にスタート時刻が変更となった。
www.sanspo.com


朝ランをしている俺としては、思ったよ。

「7時半も7時も変わらんよ。」

と。


真夏のこの時期、7時を過ぎると既に太陽がビルの上から照っており、強烈な紫外線を浴びながら走ることになる。

どうせならば、19時スタートとか、朝5時スタートとかの方が良いのではないかと思った。

朝5時だと、沿道の観客の数が少なくなってしまいそうだが、、、

路面の暑熱対策

暑いアスファルトの上を走るマラソンにおいて、どうすれば選手や観客に優しい路面になるかについて、国は検討委員会を立ち上げていた。

2015年に発足した検討委員会は、こちら。

道路:アスリート・観客にやさしい道の検討会 - 国土交通省


約1年半におよぶ検討によって、

・遮熱性舗装:熱エネルギーを吸収しにくい塗料でアスファルトをコーティングする舗装

・保水性舗装:気化熱による温度低下が期待できる、水を吸収しやすい素材を塗る舗装

の大きく2つの方法で、マラソンコース上、マラソンコース近隣を舗装することに決まった。


これらの舗装をほどこした路面を現地試走した際の資料は、こちら。
現地試走会について


これらの対策で、少しは体感温度を下げられる見込みはありそうだが、「まぶしい」「滑った」などの意見があったようで、実際に走ってみないと何とも言えないと思った。


なお、東京都環境局の発表では、2020年までにマラソンコースに関わる136kmの路面の舗装を行うことになっている。

現時点でも、100km以上は舗装されているようだ。
「路面温度上昇抑制機能を有する舗装の整備」について


さいごに

東京オリンピックのマラソンについて、暑さの対策はいくつか行われていることが分かった。

しかし、4年に一度のスペシャルな大会に標準を合わせている選手にとって、

「マラソンの本番の気温は30度だからね。」

との現実を突きつけられるとなると、非常に厳しいと言わざるを得ない。



「暑さの中、自分の最高のパフォーマンスを発揮すること」は、「マラソンを速く走ること」とは、また別の課題のようにも思える。

そもそもマラソンのシーズンって、秋から春先の涼しい、または寒い時期だ。

マラソンは、冬季オリンピックの種目にした方が良いのかもしれない、とすら思う。



アスリートにとっての最高の舞台、オリンピック。

また、その裏にある放映権などをめぐる巨大ビジネスと資本主義。

路面舗装などの地道な検討と、その工事を行うことで潤う施工業者。


今回の調査では、オリンピックの華やかな一面に隠れた、影の部分を垣間見たような気がした。


一市民ランナーとして、東京オリンピックでのマラソンが、史上最高のレースになって欲しいと思う。


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