長女の桜子は、中学2年生。
桜子の通う学校では、グループワークが頻繁に行われているみたいだ。
1か月ほどのグループワークを経て、各グループが、検討した結果を発表し合う、みたいな授業があるようだ。
前回のグループワークにて、桜子は、
「コミュニケーション心理学」
をテーマに、学んでいたらしい。
確かに、リビングに、図書館で借りてきた心理学の本がたくさん置いてあった時期があった。
桜子に発表の概要を聞いたら、非常に興味深かったので、今日はそのことを書きたいと思う。
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グループワークの発表の初っ端。
全然、調査をしてくれなかった男子2名に寸劇をやってもらったらしい。
調査・発表全体の仕切りは、桜子がやっていたみたいで、うまく発表できたことを、嬉しそうに話してくれた。
設定は、冬山で、凍え死にそうな2匹。
2人には、2匹の「ヤマアラシ」になりきってもらって、冬山の中で、お互いが近づいて、暖を取ろうとする、という話。
ヤマアラシは、体中がトゲに覆われている動物だ。
暖かくなりたいと、お互いが近づくと、トゲが当たって痛い。
トゲから離れると、寒い。
それを繰り返しているうちに、お互いが、痛くもなく、暖かい、ちょうど良い距離を保てるようになる。
それを、コミカルに演じてくれたと言う。
男子2人の活躍により、ここで笑いを取れて、会場が温まったところから発表をスタートできたと、嬉しそうだった。
これ、「ヤマアラシのジレンマ」と言うらしい。
近づくと心地よい、反面、傷つけ合うことがある。
適度な距離感を保つことが大事。
ドイツの哲学者である、アルトゥル・ショーペンハウアー氏が、最初に言い始めた考え方だ。
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「ヤマアラシのジレンマ」を教えてもらって、
「確かに」
と思った。
桜子たちのグループの発表では、「ヤマアラシのジレンマ」の説明は、この後の発表の「布石」だった。
説明の主題は、
「カタストロフィ理論」
カタストロフィとは、「大惨事」という意味。
カタストロフィ理論とは、数学や物理学の分野の理論で、
安定している状態から、不連続的にいきなり不安定な状態に陥ることを理論的に説明するものだ。
地震、台風、その他の自然災害。
今回のコロナ禍なども、カタストロフィ理論で、説明できるのかもしれない。
この、「カタストロフィ理論」、心理学に対しても適応されることがあるようだ。
円滑にコミュニケーションを取れているように感じていたが、突如、終焉を迎えるような、2者間の関係性に用いられるようだ。
桜子は、この人間関係のコミュニケーションにおける「カタストロフィ理論」を知ってもらいたかったらしい。
愛し合っている2人が、突如、関係が終わり、憎しみ合う関係になってしまう。
そんな、大惨事。
そんな大惨事を避けるためにも、「ヤマアラシのジレンマ」のような、適度な距離感を保つことが大切だよ。
そんな、発表をしたという。
「愛情が突如、憎しみに変わる瞬間」
「愛し過ぎているがゆえの、憎しみ」
そんなことを経験された方、いらっしゃるのではないだろうか。
でも、そんな大惨事、嫌ですよね。
だからこその、「ヤマアラシのジレンマ」。
でも。
相手がすごい近づいてきたから、自分もトゲをなくしてみて心の距離を近づけたら、いきなり相手がトゲを出してきたりして。
自分はトゲをしまって近づいたら、相手は、めっちゃトゲを出していて、傷ついたりして。
自分がトゲを出しているのに、相手はトゲが刺さっても、痛みに気付かず、どんどん近づいてこられたりして。
自分が長いトゲを出している向こう側から、トゲを発射してくるようなUMAがいたりして。
心地よい距離間を取れる「心の友」を探す長い長い旅は、まだ、始まったばかりなのかもしれない。
少しずつ、前へ。
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