この休校期間の間に、長女は走ることが習慣になってくれた。
俺が、調子が悪くて走れないときも、三女と次女を連れて走りに行くくらい、走ることが習慣になってきた。
そんなある日、在宅勤務が終わった後、長女を走りに誘った。
すると、
「今日は疲れてるから、いいや。」
うむ?
そんな疲れるようなことしてないでしょ。
と思い、
「多少疲れを感じているときに走ると、走力向上にすごく効果あるよ。」
「ゆっくりでいいからさ。」
「まぁ、とにかく走りに行こうぜ。」
と、しつこく誘ってみた。
すると長女は、イラっとした表情を見せて、
「ここが痛いの!」
と胸を触って見せた。
なるほど。
確かに、俺も長い距離を走るとビーチクが擦れて、血が出たりもする。
「あぁ、なるほど。だったら、これを貼るといいよ。」
俺は、すかさずニップルバンドを見せた。
このシールを貼ることで、いくら長い時間走っても、ビーチクが痛くなることはなくなるのだ。
「これで一緒に走れるね。」
だが、長女の口から出てきた言葉は、俺の期待を裏切るものだった。
「それじゃぁ、ちっちゃいよ!あと、そこだけじゃなくて、揺れて全体が痛いの!」
「なに?!」
結局、その日は、一人で走ることになった。
家の周り250mのコースを、ぐるぐるぐるぐる、3.6km。
その20分ほどの間、ちょっと悲しかった。
俺は男。
長女は女。
ランニングのことなら、なんでも教えてあげられると思っていたが、
「おっぱいが痛くなることの解決方法」
について、俺は完全に無知だった。
俺はこの件について、何も教えてあげられない。
俺は無力だ。
長女は、買い物から帰ってきた奥さんに小声で相談していた。
「ランニングでおっぱいが痛くなること」について。
この手の女性会議。
たびたび開催されて、俺は全く相手にされないのだ。
非常に寂しい。
しかし、どうやら、奥さんも良く分からないようだ。
「スポーツブラ」
なるものがあるようだが、奥さんはしたことがないと。
全力家、未知との遭遇。
とりあえず、安いスポーツブラを手に入れてみようと思う。
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