道具を使うスポーツは多い。
野球のバット。
バドミントンのラケット。
テニス、
ゴルフ、
剣道、
ラクロス、
フェンシング、
卓球
などなど。
最近、バドミントンにかなり集中して取り組んでいるのだが、バドミントンが上手な方を見ていると、その
「ラケットコントロール」
が非常に巧みであることが分かる。
高校時代に野球をやっていた時も思った。
バッティングが上手な人は、
「バットコントロール」
が巧みで、インコースを攻められたとしても、腕をうまいこと折りたたんでボールを打ち、ファールにならずに外野に飛ばせたりする。
この巧みさ。
どのようにしたら、獲得できるのだろうか。
プロ野球選手の筒香選手が、こちらの動画でこんなことを言っている。
※動画の50秒過ぎあたりから
「体とバットを一致させる」
youtu.be
この感覚を得るために大事なことは何のか。
論文などを交えながら、自分の考えをまとめてみた。
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「どれだけ長い時間、その道具に触れていたか」
それが非常に重要そうであることは、なんとなく想像に容易い。
いや、もっと言うと、
「どれだけ長い時間、頭を使ってその道具に触れていたのか」
が重要な気がする。
「頭を使いながら」
という点が、ポイントだと思う。
その結論に至った。
ある道具を初めて使用した時。
人間は、「フィードバック制御」にて道具を使って制御を行う。
脳からの運動指令で手先を動かし、その結果で道具が動く。
道具を動かした結果、動かした時の重さ、揺れ、ボールやシャトルに触れた時の振動を、体性感覚器にて受容し、それが大脳に送られる。
その受容した結果を補正して、再度運動指令を出す。
この、
運動指令 → 体性感覚の受容 → 補正した運動指令
の一連の流れが、「フィードバック制御」と呼ばれる。
人間は、フィードバック制御系の運動を繰り返すことで、運動のモデルを作り上げ、それが小脳で制御される
「フィードフォワード制御」
で運動を行うことができるようになる。
フィードフォワード制御になることで、より脊髄に近い小脳からの運動指令で運動を行えるようになり、リアルタイム制御が可能になる。
素早く動けるようになるのだ。
道具を使う運動に限らず、すべての運動がこの仕組みだ。
こちらのホームページにもう少し詳細が書かれている。
運動学習にかかわる小脳の働き
コップに入った水の量を瞬時に判断して、コップを落とさない最低限の力でコップを持つこと。
歯ブラシで歯ぐきから血が出ない、けどちゃんと磨ける強さで歯ブラシを動かすこと。
PCのキーボードでしかタイピングできなかったのに、スマホの新しい文字入力の方法でも素早く文字を打てるようになったこと。
転ばずに、何も意識せずとも歩けるようになったこと。
奥さんの堪忍袋の緒が切れる前に、ちゃんと家族サービスをして、ことなきを得ること。
そのすべてが、小脳によるフィードフォワード制御なんだろう。
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面白い論文を一つご紹介したい。
この論文は、サルが道具を使ってエサを取るときの、脳内の処理を研究したものだ。
サルが、熊手状の道具を使って、エサを取る。
これを数か月間、練習し、練習した後の試行の際の脳の処理が書かれている。
この論文によると、
A:道具を使う前
B:道具を使っている最中
C:道具を使い終わった後
で、
「おサルさんの『手』の脳内でのイメージ符号が変化している」
と言うのだ。
すなわち、道具を使っている最中は、道具も含めて「自分の手」というイメージが脳内にできあがっているという。
※上記論文の図2と図3より
さらには、道具を使っている最中の、自分の手が届く範囲が、脳内では、より広い範囲になっているという。
(上記論文内の図5)
この実験の意味するところは、
「道具を使う練習をすれば、道具を自分の体の一部と認識できる」
ということだ。
脳は、道具を体の一部と認識することができるのだ。
フィードバック制御系の運動を、
フィードフォワード制御系の運動に変換する。
その際に重要なことは、
「頭を使って、五感を研ぎ澄ましながら繰り返すこと」
これにより、小脳にでき上る「運動モデル」の質は、高まるはずだ。
ランナーの方であれば、新しいシューズを使いこなすために、様々なペースで走って、
その地面からの反力を感じ、
そのスピードを目に焼き付け、
その時の呼吸の苦しさを感じ、
それを繰り返し、
その結果、そのシューズが、自分の体の一部になるはずだ。
より質の高い体の一部とするために、頭を使いながら日々繰り返すことが重要なんだ。
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ということで、最近は、日本男子バドミントンの申し子、
TAGOKEN
がやっていた自宅でもできるトレーニングの中で紹介されていた、
「シャトルリフティング」
を毎日やっている。
youtu.be
俺の小脳モデルの質よ高まれっ!
少しずつ、前へ。
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