長女(桜子)の通う学校の部活は、
月、水、金、土。
なので、火曜日、木曜日は、桜子と一緒に体育館でバドミントンをする曜日になっている。
土曜日も桜子と。
そして、日曜日は楓子と午前中バドミントンサークルに参加して、午後は桜子と体育館。
土日の体育館は、家族連れでにぎわうため、1コマの30分できれば良い感じだ。
ただ、平日は、ほぼほぼ貸し切り状態で、1時間から1時間半ほど、連続でバドミントンができることが多い。
ある日の平日。
いつものように桜子と体育館に行くと、平日にも関わらず、先客がいらっしゃった。
「あぁ、先にやっている人いるね。」
「今日は30分しかできなさそうだね。」
最近は、30分では物足りなくなってきている。
「なんだかなぁ」
なんて思って。
それでも30分間、バドミントンを楽しんでて。
案の定、先にやっていた若者が、次の時間の予約をしていたらしく、コート脇にやってきたので、切り上げて帰るつもりでいた。
するとその若者2人のうちの1人が話しかけてきた。
「あのぉ、こいつ、足攣っちゃったみたいで、良ければ、一緒にやってくれませんか?」
「シングルスでやって欲しいです!」
「ほぇ?」
真っ赤な短パンに、真っ赤なTシャツ。
Tシャツの背中には、「22」と背番号が書かれていて、日焼けした感じで、爽やかなイケメン。
隣にいた黒いTシャツを着た身長が180cm以上はあろうかという男の子は、恥ずかしそうに、
「俺はできないから、大丈夫なんで。」
と。
「俺みたいなおっさんで、しかも初心者ですけど、大丈夫ですか?」
と聞くと、
「もちろんです!僕も初心者なんです。」
と、赤い子。
あぁ、そうか、この赤い子、サッカー部ぽいもんな。
桜子は、
「パパ、最初やって。桜子、ちょっと疲れちゃったから。」
と、いうことで、42歳のおっさんは高校生と、初心者同士、バドミントンの対決をすることになった。
この赤い子。
初心者なのに、すげー上手。
打ち方がちょっと変だけど、めっちゃ動いて、なんか意味分かんないけど、シャトルを取るんすよね。
で、いい感じで決まると、友達の黒い子に、
「ねぇねぇねぇねぇ!今の見た??すごくね?」
って。
かわいいじゃないか。
いいね。
若いって。
そして、しばらく打った後、黒い子に交代。
黒い子は、バドミントン部とのこと。
おぉ、これは、自分の実力を測れるいいチャンスだ。
そう思っていたんだけども。
赤い子がコート脇に下がったとたん、桜子と何やら笑顔でトークをし始めた。
桜子も笑顔だ。
そんな2人が、横目で見えてきちゃう。
くそう。一体何の話してるんだ?
俺の娘に手出したら、ただじゃおかないからな。
なんて思っていたら、全然プレイに集中できなかった。
この後、桜子登場。
黒い子は、赤い子に交代して、赤い子と桜子が対決することになった。
赤い子。
俺の時と比べて、厳しいコースに打ってない。
そして、桜子がちょっといいプレイすると、
「すっげーうまいねっ!!」
と爽やかスマイルを繰り出している。
こらこらこらこら。
俺がいる前で、いちゃついてんじゃないぞ。
俺の娘に手出したら、ただじゃおかないからな。
て感じで、高校生の若者2人と、30分間楽しくバドミントンをさせていただいた。
その男の子たち2人は、礼儀正しいし、素敵な若者だった。
最後、モップ掛けするルールになっているのだが、
「大丈夫です!僕たちやりますんで!」
なんて言ってくれたりして。
桜子の通う中学は、中高一貫校なんだが、聞くと、その2人は、桜子の先輩で。
しかも高校3年生とのこと。
思い切り受験生だね。
~~~~~
桜子と2人、体育館からの帰り道。
桜子は、ずっと赤い子のことを話していた。
「すっごく良い人だったよね!」
「また学校で会えるかなぁ」
「あの人、バドミントンやってないのに、すごく上手だったよね!」
「めっちゃ運動神経良さそうだったよね!」
「さわやかでイケメンだったよね!」
桜子は、赤い子に完全に心を奪われてしまったようだ。
んで、桜子は、最後にこう言ってくれた。
「3人の中で、パパが一番上手だったよ!」
パパ、嬉しいっす。
少しずつ、前へ。
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