よこすかシーサイドマラソンでハーフを走った翌日。
普通に仕事して、普通に残業して、帰宅。
右膝の痛みがひどく、歩くだけで痛く、階段を上るのがすごくキツかった。
でも、それ以外、どこも疲れていない。
打ち合わせ中も、パソコンで資料作成している合間も、ずっと大腿と膝のお皿を揉んでいた。
「痛いの痛いのとんでけ~~!」
って。
全然、飛んでいかない。
よこはまマラソン以降ずっと続く、この痛み。
早く、どっかに飛んで行ってくれっ!!!
*****
仕事から帰宅し、食卓に付いた。
仕事のことを思い出したり、膝の痛みに打ちひしがれたり、心を埋め尽くす悩みに支配されて、家族の雑談が頭に入ってこなかった。
1人になって、ボーっとしたい。
ただただ、ボーっとしたい。
そう思って、1分もボーっとできなかった。
三女の甲高い声が、俺の脳に響く。
「ねぇ、パパ、パパ。リコね、今度の発表会で、しゃべるところになったんだよ!」
「『おにごっこもしたいし、ボールあそびもいいね!』ってしゃべるんだよ!」
すごくデカい声だ。
「ねぇ、パパ、パパ。この前やった、メガネかけたら、そこでゲームできるやつ、またやらせてよ!」
「ん?なんだっけ?それ?」
「あの、灰色のおっきいメガネ!」
「あぁ、VRヘッドセットだね。」
「あれね、子どもの目に、あんまり良くないみたいだからなぁ。ていうか、早くご飯食べ終わりなよ。」
ほかのみんなが食べ終わっているが、相変わらず声がデカい三女は、1人食べ終われずに、冷えたご飯が食卓に並んでいた。
「ねぇねぇパパ、これで音楽聞かせてよ!」
俺のノイズキャンセリングヘッドフォンを頭に付けて、俺の横にきて、俺がボーっとするのを妨げてくれる。
「こら!ちゃんとご飯食べなさい!」
「はーい。」
と、寂しそうな顔をする三女。
そのとき、「はっ」っとした。
リコが、せっかく俺と話をしようと、デカい声で、何度も何度も話しかけてくれたのに、そっけなく返して、最後には「静かにして欲しい」という俺の思いから、怒鳴ってしまった。
この感じ、最近、やってしまったことあるな。
子どもからこれだけパパに話をしてくれるなんて、最高に幸せな状況じゃないか。
「リコ、ちょっとこっち来てくれるかな?」
優しく、三女を呼ぶ。
ギュっと抱きしめる。
「発表会で、しゃべる役をできるなんて、すごいじゃないか。えらいぞ、リコ。」
日常にある幸せが、あまりにも当たり前になって、その幸せの大事さに気付けなくなっていた。
そんな幸せは、なくならないように、すごく大事にしないといけないんだった。
*****
当たり前に走れていたあの頃。
当たり前すぎて、何も感じていなかった。
あまりにも当たり前だった。
右膝が痛い。でも走りたい。
あの頃のように戻りたい。でも今は無理だ。
あの頃に戻りたい。
本当にあの頃に戻りたいんだよ。
そう想っていたら、辛くて、痛くて、ソファから立てなくなった。
子ども達が学校に行く前に出社しているのに、辛くて、痛くて、ソファから立てなくなっていた。
ハーフマラソンを走った翌朝、夏場に全裸で眠っていたあのソファから立ち上がれなかった。
でも、すこし時間が経ってちゃんと仕事行けた。
仕事行くのが、当たり前だけど。
遅刻したけど。
これからは、ちゃんと、日常の当たり前を大事にしよう。
まずは、そこからスタートだ。
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