3人娘の親父が走る。いつだって全力中年。

3人娘の親父がランニングを中心に、日々の出来事をそこはかとなく綴ります。

サンタさんはいない。

その日は、朝から冷たい雨が降っていた。

年の瀬が近い週末。

俺は、自転車を手で押す母親に傘を差し、2人で家路を急いでいた。


自転車の荷台には、大きな大きなビリヤードのセット。

当時、小学校5年生だった俺がクリスマスにサンタさんからもらうはずのものだ。

荷台にくくり付けられたビリヤードセットは、冷たい雨に濡れ、縛り付ける紐で箱に痕がついていた。

ビリヤードのセットも凍えているように見えた。




12月の初め頃、小学校の休み時間に、友達との間で一つ、議論が行われていた。


「サンタさんはいるのか、いないのか」


俺は、サンタさんはいると信じ込んでいた。

だが、クラスの半分以上の連中は、そんな議論、どうでもいいよ的な感じで、

「いないから。」

と、冷めた様子。


「お父さんとお母さんがプレゼントを買ってるんだよ。」


「いや、そんなことないよ。」

「だって、サンタさんから手紙もらったことあるし!朝起きたら、窓が少し開いていたんだから。」


サンタさんがいない、ということを受け入れられない俺。

サンタさんがいないから、どうなるということもないが、あの夢のような1日が、実は両親に仕組まれたイベントだとのリアルを受け入れられなかった。



よし。

今年は、サンタさんにもらいたいものをずっと両親に内緒にしてみよう。

自分で確かめてみるんだ。

執拗にサンタさんに何をもらいたいのか、聞いてくる母親。

でも、内緒を貫く俺。




そして、迎えたクリスマス前の週末。

母親から打ち明けられた。


「実は、サンタさんはいないんだよ。ママとパパがプレゼントを買って、眠った後に枕元に置いていたんだよ。」


ある程度は心の準備をしていたつもりだった。

でも、その時の衝撃と言ったら、言葉では言い表せないほど、大きなものだった。


こんな嘘ってあるんだな。

知らない方が幸せなことってあるんだな。

これが大人になるってことなのかな。

だとしたら、ずっと子供のままでいたいよ。



そして、クリスマスの朝。

俺の枕元に、紐の跡があり、箱にシワがよったビリヤードセットが置かれていた。

クリスマスの朝を迎えるまで、まだ信じられない自分がいたが、これで事実を受け入れられた。


「ねぇねぇ、おにいちゃん!!サンタさん来たよ!!」

弟は、興奮気味にプレゼントを開けている。


「本当は、サンタさんはいないんだぞ。ママとパパが買ってくれたんだぞ。」


と言ってしまって、この寂しい現実を共有できる仲間が欲しかった。




それから、30年ほどの月日が経ち、今は自分はサンタさん役だ。

サンタポイント制度を導入している我が家では、ポイントをクリアしていないとサンタさんからプレゼントをもらえないことになっている。

今年は、既に3人の娘みんなポイントをクリアしている。


6年生になる長女は、既にサンタさんがはいないことを知っている。

3年生の次女と、年長の三女は、サンタさんに何をもらうか、毎日のようにウキウキしながら話をしている。

長女は、そんな次女と三女に、「そんな高いものサンタさんはくれないよ!」と、変な注意をしている。


「あ、そっか。やっぱり3000円くらいまでかな?5000円くらいまでならいいよね?」と絶妙な価格設定をしている次女。


「リコはこれが欲しい!」と980円のちっちゃいぬいぐるみを指さす三女。

もっと高いもの選べよ。



そんなやり取りを見て、幸せな気持ちになれる。


そうか。

そうだったんだ。

俺が5年生の時、サンタさんがいない事実を知り、寂しい気持ちになった時。

もっと寂しい気持ちになっていたのは、母親と父親だったんだろうな。



と、そんなことを考える俺も、歳をとったんだな。



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