先日、マラソンを走る際の風よけの効果についてのエントリーを書いた。
www.all-out-running.com
「空気抵抗を減らすこと」は、タイムを縮める上で非常に重要だ。
この空気抵抗を減らすための努力を、Nikeも行っている。
表面抵抗をあえて上げる"AeroSwift Tape"
Nikeは、ランナーの空気抵抗を減らすために、「AeroSwift Tape」という、あえて表面抵抗を大きくして、乱流を発生させることで、空気圧の抵抗を減らすという製品を開発していた。
腕や足に貼り付けると、空気抵抗を減らすことができるようだ。
Nike’s First Law of Speed - Nike News
調べてみたが、現時点では販売はされていないらしい。
ここまでの努力をして空気抵抗を減らす必要があるのだろうか。
だとしたら、空気抵抗を減らすための髪型を考えた方が、効果が高いのではないだろうか。
髪型と空気抵抗
やはり世の中には、同じ疑問を持つ人はいるようだ。
慶應大学の体育会競走部の学生が、大学の課題として作成したレポートを見つけた。
"最強の髪型とは?"
「競技も大学生活もどちらも最高のパフォーマンスを発揮できる髪型」
について調査を行っている。
実験では、
発泡スチロール球を頭部で模擬し、
紙紐を髪の毛として、
紙紐の本数をいくつかのパターンで、
前方から風速40km/hの風をあて、空気抵抗を測定している。
こちらがその実験の様子だ。
手作り感満載のモックアップだ。
俺は、これまで40年間生きてきて、これほどまでに髪の毛が逆立ってる人に会ったことがない。※上記レポートの図9より
結果としては、想像通りの結果が出ている。
紙紐の長さが長い ⇒ 空気抵抗が大きい
紙紐の本数が多い ⇒ 空気抵抗が大きい
※上記レポートの図7、図8より
そして、このレポートでは、以下のように結論付けている。
髪の毛が短く,本数が少なく,密度の小さい髪型が,一番空気抵抗がないことがわかった.
Macさん、やったぞっ!!
一方、以下のようにも書いている。
空気抵抗の殆どは発泡スチロール球から由来するものであり,すなわち人間の顔から由来するものであり,風を受ける面積が重要であるということがわかった.
実際の多くの人間の場合,髪の毛はほぼ隙間なく生えており,人による差は少ない.
そもそも、顔が大きいか小さいかの方が、髪型による影響よりもずっと大きいとのことだ。
そして、最後にこう述べられている。
陸上競技や大学生活を送る上で最強の髪型とは,自分がいちばん自分を輝かせることができると思う髪型と言える.
素晴らしい結論だ。
このレポートを読んで
このレポート、実に面白いと思った。
まず、タイトルが秀逸だ。
「最強の髪型とは?」
タイトルからして、「読んでみたい」と思わせてくれる。
そして、課題設定。
競技も大学生活もどちらも最高のパフォーマンスを発揮できる髪型を知りたいと思った.
しかし、その後の実験の方法は、検討の余地が大きい。
まず、髪の毛を紙紐で模擬している点。
紙紐はあまりにも太い。
そして、紙紐の本数。
最大で100本での実験をする予定だったようだ。
だが、結果のグラフでは、90本のところにプロットされているので、10本程度、発泡スチロールに刺せなかったか、抜け落ちたのだろう。
にしても本数が少なすぎる。
そして、結論。
「髪の毛による空気抵抗は小さい」と結論付けているが、本当にそうだろうか。
髪の毛0[cm]の抵抗値「14.8[N]」に対し、
髪の毛30[cm]の抵抗値は「16.0[N]」は、決して小さな差ではない。
そして、大学生活で最高のパフォーマンスを送るための実験や考察がなかったことは残念だ。
タイトル、そして課題設定までは完璧だが、その後の実験から考察、結論に至るまでに改善の余地がある。
社会人になると、もっとも大切なことの一つに「課題設定」があると思っている。
課題設定ができれば、その後の手順は、専門家と議論しながら決めれば良い。
面白い課題設定ができることは、非常に重要だ。
俺は、このレポートを読んで、こんな学生と一緒に仕事をしてみたいと強く思った。
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