疲れを取るためのジョグ、「疲労抜きジョグ」。
その効果について、論文を参考にして、自分なりに考察をしてみた。
疲労抜きジョグの定義は、明確ではない。
「疲労を抜くためのジョグ」程度の定義しかなさそうだ。
そこで、ここでは、「疲労抜きジョグ = 低強度で30分~60分程度行うジョギング」として、考察を行う。
低強度の運動の効果
骨格筋の毛細血管の増加
以前、低強度のランニングと高強度のランニングが、毛細血管へ与える影響について論文の調査を行った。
www.all-out-running.com
この論文によると、
高強度→ 骨格筋の毛細血管の増加、骨格筋/心筋の毛細血管が太くなる
低強度→ 骨格筋の毛細血管の増加
がそれぞれ見込めると言うことが分かった。
また、骨格筋の毛細血管の増加は、運動の継続時間と相関があることが分かった。
低強度のランニングであっても、しっかりとした効果は見込めるということだ。
有酸素系代謝の利用
また、こちらの論文では、
"Substrate use during and following moderate- and low-intensity exercise: Implications for weight control"
中程度の強度と低強度の運動でのエネルギーの利用について調査されている。
低強度: VO2max 33% で90分の運動
中強度: VO2max 66% で45分の運動
のカロリー消費が同等の運動を行い、その際の炭水化物、脂肪、たんぱく質の使用量を比較している。
結果は、こちらの図。
※上記論文のFig.1より
低強度の運動は、中強度の運動と比較し、炭水化物の使用量が少なく、脂肪の使用量が多いことが分かる。
脂肪をエネルギーとして利用する「有酸素系代謝」では、
脂肪+乳酸+酸素 から エネルギーが作られ、水と二酸化炭素が作られる。
www.all-out-running.com
低強度の運動により有酸素系代謝が優位に行われることで、より多くの乳酸が使われ、細胞内の水が排出されるということだ。
また、低強度の運動により有酸素系代謝がより使われることで、有酸素系代謝がより使われやすくなる体の適応反応が起こる可能性がある。
高強度の運動を継続することの危険性
また、こちらの高強度のトレーニングとして、タバタ式インターバルとウィンゲート式インターバルの急性の炎症反応を比較した論文。
"Comparison of Two Different Sprint Interval Training Work-to-Rest Ratios on Acute Inflammatory Responses"
「サイトカイン」という細胞同士が連絡を取り合うためのシグナルに相当するたんぱく質があるのだが、その中でも、体の炎症度合いを測定する際に用いられる「炎症性サイトカイン」というものがある。
この論文では、炎症性サイトカインの代表である、「IL-6」や「TNF-α」を計測しており、タバタ式インターバルとウィンゲート式インターバルともにトレーニング後に、急激な炎症性サイトカインの増加が見られている。
なお、24時間後の炎症性サイトカインは、トレーニング前とほぼ同等の値に戻っている。
炎症性サイトカインが慢性的に高い状態にあると、痛みが発生し、故障の原因になると言われている。
すなわち、高強度のトレーニングを継続的に行うと、炎症性サイトカインが慢性的に高い状態になり、故障する可能性が高まる。
考察まとめ
いくつかの論文から考察するに、疲労抜きジョグは、以下のようにまとめられるだろう。
・高強度のトレーニングを継続すると故障の危険性がある
・低強度のトレーニングを行うことで、骨格筋の毛細血管の増加が見込める
・低強度のトレーニングを行うことで、脂肪をエネルギーとする有酸素系代謝が促進される(ミトコンドリアの活性化)
・低強度のトレーニングを行うことで、細胞に溜まった乳酸が使われ、老廃物が水と一緒に排出される
高強度のトレーニングを継続すると、故障の危険性があるため、体に負担をかけずに、細胞に溜まった老廃物を排出し、運動能力を向上または維持するための運動。
それが「疲労抜きジョグ」だ。
疲労抜きジョグの際に意識すること
まず運動強度の目安。
疲れをためてしまっては目的に反するので、普段の練習ペースよりも1.3倍程度の遅いペース程度が良いと思う。
普段キロ5分ペースで練習をしているならば、キロ6分30秒程度のペース。
心拍数の目安としては、最大心拍数の60%から70%程度。
最大心拍数が180の場合、108から126程度。
ゆっくり走る際に気を付けなければいけないことは、フォームの崩れだ。
フォームが崩れないように次の事を意識する。
・呼吸をランニングのペースに合わせることを意識して、無駄なエネルギーを使わない。
・体幹(金さんの言うところの「丹田」)を意識して、ブレないフォーム。
・腕の力を抜き、体幹を中心に腕を振る。
実際にやってみた疲労抜きジョグ
翌日に大井東京マラソンでリレーマラソンに参加予定のため、朝4時に起きて、早朝の疲労抜きジョグを決行。
心拍数は120以下、ペースはキロ6分を目安に。
途中、道路の反対側を走るオレンジ色のTシャツのおじさんランナーを発見。
道路の反対側の歩道を走ってはいたが、明らかに俺よりも速いペースで、どんどん俺から離れていった。
しかし、その後、歩道橋を渡って、俺の走っている歩道にやってきたのだ。
俺の約10m先を走るオレンジおじさん。
4分半くらいのペースだろうか。
俺との差は、どんどん広がる。
ペースを上げて追いついて、さらに抜かしてしまいたい衝動に駆られるが、それでは「疲労抜きジョグ」にならない。
俺も大人だ。
リレマラに参加する俺の体は、俺一人の体ではない。
無理をしては、リレマラメンバーにご迷惑をかけることになるかもしれない。
そう、俺は大人なんだ。。。
最後にペースを上げて、しっかり抜かしてやりました!
やっぱりね、早朝4時に起きて走っているのに、ゆっくりのジョグだけじゃ爽快感が足りない。
最後に一気にスピードを上げて、オレンジおじさんをしっかり抜かして、早朝ジョグ終了。
疲労抜きジョグ。
取り組む際は、心を無にして、周りを意識せずに走る必要があることが分かった。
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